第6章 シャツ
アームホールパラドックス
腕を回しやすくするために、上着のアームホールは大きいほうがゆとりが大きく動かしやすいと思われている方が多いです。しかしこれは反対で、アームホールは狭ければ狭いほうが動かしやすく、かつ綺麗なシルエットが生まれます。
この理屈を一番おわかりいただけるのが、前ボタンを止めたときに腕を上げやすいかどうかです。アームホールが狭ければ、可動域が広くなるので動かしやすいのですが、広ければ胸回りの部分もつられて上がってきてしまいます。同様にスーツも、アームホールはなるべく小さめのほうが着心地がいいのです。既製服は多くの人のニーズを満たすために作られているので、アームホールは広く、カフス周りも広く作られています。スーツよりも肌により近いシャツのほうが、オーダーメイドの実感は沸きやすいかもしれません。
ですが、ただ単に狭くすればよいというわけでもありません。腕周りは上着のパーツの中でも特に立体的で可動域を要する部分です。その人の身体に合ったアームホールを作ることができるのが、熟練の職人の腕の見せ所です。
Atelier BERUN
東京都新宿区神楽坂6-8-23
- ◆HP :
- https://berun.jp/
- ◆FB :
- ◆Blog :
- 伊達男日和 -Dandyizm Life-
- ◆Tel :
- 03-3235-2225