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第5章 シャツ
アームホールの理想
腕を回しやすくするために、上着のアームホールは大きいほうがゆとりがあるため、動かしやすいと思われている方が多くいらっしゃいます。
しかしこれは反対で、アームホールは狭ければ狭いほうが動かしやすく、かつ綺麗なシルエットが生まれます。
この理屈を一番おわかりいただけるのが、上着の前ボタンを止めたときに腕を上げやすいかどうかです。
アームホールが狭ければ、可動域が広くなるので動かしやすいのですが、広ければ胸回りの部分もつられて上がってきてしまいます。
既製服は多くの人のニーズを満たすために作られているので、アームホールは広く、カフス周りも広く作られています。スーツよりも肌により近いシャツのほうが、オーダーメイドの実感は沸きやすいかもしれません。
ですが、ただ単に狭くすればよいというわけでもありません。腕周りは上着のパーツの中でも特に立体的で可動域を要する部分です。
その人の身体に合ったアームホールを作ることができるのが、熟練の職人の腕の見せ所です。
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