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第2章 スーツ
冬のスーツの選び方
冬はおしゃれを一番楽しめる季節です。
夏を過ごしていた時は、「夏はやっぱりリネンだよね!涼しくて気持ちいい!」と話して楽しんでいる人たちも、秋になり、冬の洋服が脳裏にチラついてくると、「やっぱりおしゃれは冬だよなぁ」と感じるものです。
冬は生地の厚みをふんだんに活かすことができるため、洋服の力を思う存分発揮することができます。
冬のスーツといえば、ズバリ起毛感です。
ウーステッドスーツ
起毛感にいく前に、あまり起毛感を求めていない方のために、通常のウーステッドのスーツもご紹介いたします。ウーステッドとは、フランネルが起毛しているのに対し、起毛していない、表面の毛羽立ちが少ない生地のことを指します。つまり一般的な生地です。そのウーステッド生地で、いつも着ている生地よりも重さを少し上げることで、冬のスーツとして愉しむことができます。
一般的に合物と呼ばれるスーツの重さは270~300gms程度ですが、冬用でしたら400gmsを超えた生地を選ぶこともできます。
下で着用しているダブルのスーツの生地の重さは、540gmsというかなりヘビーな生地です。フランネルのようなふわっとした質感がないため、季節感はそこまで感じませんが、生地の重さで迫力を出し、冬らしさを演出します。
<Fabric by H Lesser & Sons.>
フランネルスーツ
冬のスーツといえば、ずばりフランネルです。起毛していない生地のことを梳毛生地と呼びます。対して、起毛している生地のことを紡毛生地と呼びます。
昨今の温暖化の影響で、日本の冬でも1,2月の2ヶ月しか着られないのではないかと思われてしまい、着る時期があまりないならと着用する方が年々減ってきております。
ですが、年間通して季節をしっかりと意識をして装いを考えておりますと、フランネルを着る時期というのはしっかりとありますし、その時期にフランネルを着ないというのは、非常に勿体無いことだとわかってきます。
沖縄に来て海を見ずに過ごす。そのくらい勿体無いことです。オクトバーフェストに来て、ビールを飲まないくらい勿体無いことです。(もう分かったよ笑)
フランネルの生地の中で、重さ、目付けから自分のライフスタイルに合うものを選ぶことができます。
340gms
<Fabric by Fox Brothers>
<Fabric by Harrisons of Edinburgh>
東京、または東京よりも西側にお住まいの方ですと、冬があまり長くないと思います。そのようなお方は、340gms、そのくらいの重さの生地を選んでいただけたら、比較的長いシーズン着用することができます。
このくらいの生地の重さですと、起毛感も程よく抑えられており、バランスの良いスーツの印象になります。
400gms
<Fabric by Harrisons of Edinburgh>
400gmsを超えてきますと、起毛感もしっかりとしてきて、フランネルの質感をより深く味わうことができます。もしストライプやチェック柄などのスーツにしましたら、柄が起毛によりぼんやりと浮かび上がるような見た目になります。
450gms~
450gms以上になりますと、日本の冬ではオーバースペックに感じるシーンが多くなります。ここからは酔狂の世界です。もう暑かろうがなんだろうが、私はこれが着たいんだ。という強く熱い意志を感じます。
このくらいの厚みになってきますと、10年は通過点で、15,20年と着続けることができます。
コーデュロイスーツ
春秋のコットンスーツと同様、今この時代に全く必要のないものに分類されると思います。
スーツという形をしていながら、ビジネス向けではない。でも、カジュアルな格好でもない。という男性の装いの世界で中庸を行ききっているスーツです。日本はオンオフという言葉があるため、仕事着はスーツ、休日はスウェット、というように一気に切り替えてしまう方が多いです。
ですが、装いの本当に愉しいところは、そのオンオフを白と黒で例えますと、そのグラデーションのように色が切り替わっていくところにあるのです。
あらゆるシーンやシチュエーションを想像して、このような場面だったら、こういうようにカジュアルダウンさせていけばいいだろうと想像をして洋服を選ぶ。それが本当の洋服選びなのです。
ただ自分が着たいものを、流行のもの、自慢できるものを着ればいいわけではありません。それらの洋服を着たところで、本当に気持ちが豊かになる着こなしはできないのです。
コーデュロイでスーツを仕立てるという、ワードローブの中で絶対に必要なものではないスーツを持つということ、そこに本当の愉しさがあると思います。
ドラクエの職業でいいますと、吟遊詩人くらいの立ち位置でしょうか。戦士や武道家、魔法使いや僧侶ではない。メンバーにいなくてはいけないわけではないけれど、いたらパーティが華やぐ。そんなスーツです。
コーデュロイも、生地の重さによって印象が変わりますので、ここでは2パターンをご紹介いたします。
460gms
<Fabric by Brisbane moss>
いわゆる中畝と言われる中間の重さのコーデュロイ。春秋冬と長いシーズン着用することができます。
身体の小さな方でも違和感なく着ることができるため、多くの方に合います。
680gms
<Fabric by Brisbane moss>

コーデュロイの中で最も重い企画のこちらは、太畝と呼ばれる肉厚な生地です。ゴワゴワしていて非常に着心地のわるいスーツですが、それがいいのです。着込んで着込んで着倒して、長い年月をかけて自分のものにしていきたい一着です。
こちらの重さになってきますと、ある程度身体の大きさは必要になってきます。反対に、身体の大きな人は中畝には行かずに、勇気を振り絞って太畝にいくことを強くお勧めいたします。
ツイードスーツ
ツイードスーツもコーデュロイスーツと同様の立ち位置でしょう。ドラクエの職業で言えば、踊り子くらいの必要度でしょうか(なんだこの指標は笑)。私個人的には優先順位で言いますと、ツイードスーツ>コーデュロイスーツです。
ツイードスーツは本当に便利ですし、とても格好いいです。多くの方に着ていただきたいと思っております。
「ツイードはパンツに向いていない」という意見も聞きます。これは半分正解で、半分不正解です。これをいう方はツイードの奥深さをまだ理解できておりません。
ツイードと一言で言いましても、数多くの種類があります。目が荒いもの、詰まっているもの、軽いもの、重いもの。
パンツに向いていないと言われているのは、目が詰まっていない、生地の表面がふわっと起毛している生地のことです。
確かにそのような生地でパンツを仕立てますと、毛玉になりやすく、かつ履いていてもゴワゴワとして非常に履き心地が良くない。というものができてしまいます。
パンツに向いている生地はその反対で、目がしっかりと詰まっているもの、そして肉厚であるものです。
また、ツイードのスーツの良いところは、使い回しができるところにあります。
上着だけでツイードジャケットとしても使えますし、上にニットを合わせればパンツだけで使うことができます。
そして普段別々で使っているものを時々合わせてスーツで着ると、また違った印象になるため、飽きがきません。
下の写真のように、タイで合わせてもいいですし、ニットで合わせてもいいのです。
あらゆるコーディネートの仕方があるため、普段あまりスーツを着ないという方にもぜひお勧めしたいです。
<Fabric by Dugdale & Bros.>
<Fabric by Harris Tweed>
<Fabric by Porter & Harding>
どの素材も良さがありますので、ぜひご自身のライフスタイルで活用できそうなものを探してみてください。
2026年9月擱筆
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