第1章 洋服の哲学
クラシックは若い頃から知る方がいい
わたしは常日頃、「若いうちからクラシックを知っておいた方がいいです」と言っています。
クラシックスタイルは、“最もシンプルながら、最も高度”であり、最初から完璧に着こなすことはできません。華麗に着こなせるまでの道のりは遠く、近道のない世界です。積み上げていくには年月が必要で、“粋”に着こなせるようになるまでには何十年もかかります。
多くの方が40歳を過ぎた辺りから、流行り廃れのないクラシックなものに目を向けはじめます。しかしその頃からのめりこみはじめたとしても、着こなして愉しめる時間はあまり長くはないでしょう。それでは、せっかく華麗に楽しみたい年頃に楽しめず、大多数の人と同じレールを歩むことになってしまいます。
私は何らかの縁でこの文を読んでくださっている方には、若いうちにしっかりとクラシックを身につけ、ある一定の役職をもらう年頃には、どんな装いをしても“さりげなく”何を着てもかっこよく着こなせる人になっていてほしいと願っています。
何事もそうですが、まずは”型”を覚えることが大切です。型を覚えず進んでしまうと、後々修正がきかなくなってしまいます。今までの固定概念はひとまず置き、まずはクラシックを学んでみてください。基本を習得し、その後自分なりのファッションを追求することで、誰よりもおしゃれを愉しむことができます。
顔やスタイルがいいだけでチヤホヤされるのは20代までではないでしょうか。人は年齢を積み上げると共に、外見とは別の魅力が必要になってきます。チヤホヤされなくなった瞬間にあせっても遅いでしょう。地道に何年も積み上げ続けることが大切です。
余談ですが、日本で初めてのミリオンセラーとなった「帰ってきたヨッパライ」の歌手、フォーククルセイダーズの加藤和彦氏は、日本の芸能界の中で当時ずば抜けておしゃれな人でした。テーラードジャケットにデニムを合わせる着こなしも、彼が日本ではじめてしたという話もあります。そんな彼の、タキシードジャケットにデニムを履いている写真があるのですが、なんとも言えないかっこよさに満ちあふれていました。かれの洋装観は本当に素晴らしく、スーツもすべてイギリスの「サヴィル・ロウ」に行き、フルオーダーで仕立てていたそうです。彼ももちろん基本をマスターしている人だったので、どんな難しいコーディネイトも着こなすことができた人でした。このようなルール通りではない着こなしは、基本を身につけていない人がしてしまうと、たちまち失敗コーディネイトになってしまう可能性があります。
しっかりと基本を身につけ、味のある大人になっていただきたいです。
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