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第8章 フォーマルウェア
黒は世界の非常識
日本では冠婚葬祭、何かのかしこまった日にはとりあえず黒を着ろ!という風潮がありますが、世界ではどうなのでしょうか。
世界では黒は、タキシードやイブニングコートのように、クラシックでフォーマルな場でのみ着用されています。結婚式では、ダークトーンのグレーやネイビーを着用している方が大半です。
日本人は右向け右の国民性なので、とりあえず黒を着ていれば何も言われないだろう。という安パイな選択をしている方が大勢いらっしゃいます。
リクルートスーツというのも面白みが全くないですね。スーツを作業服としてしか考えていない表れだと思います。
英国の礼装の教えにはこのような言葉があります。
「非常に濃い鼠色(グレー)は、黒と同様である」
この黒に近い鼠色のことは、「オックスフォードグレー」と呼ばれています。
日本では、黒のスーツを着ている人を多くみかけます。一昔前までは黒のスーツは喪服であり、ビジネスの場で着るものではありませんでした。それが今は当たり前のように日常的に着用されています。
スーツの三原色と言われている色は、「ネイビー・グレー・ブラウン」です。しかし日本人は肌の色や髪の色のバランスで、ブラウンを着こなせる方は多くないため、ネイビー・グレーの2色が定番になっています。
なぜ黒が三原色の中に選ばれないのかといいますと、黒はすべての色の中で最も強い色であり、全体のコーディネートの印象を大きく形作ってしまうからです。
コーディネートで最も大切なのは”トータルバランス”であり、個のアイテムの格好よさは二の次です。
想像してみていただきたいのですが、黒いスーツを着て、ブルーのタイをして、茶色の革靴を履いている男性がいたとします。あまり格好いいイメージは浮かばないと思います。それは、黒という色のパワーが強すぎてしまい、他の色と協調性をもてないのです。
黒のスーツに合わせるシャツは、必然的に反対の色の白になり、靴も黒になります。
そのため、ディナー・ジャケットのようなフォーマルなスタイルには、黒と白以外の色は存在しません。そこに他の色が介入することができないからです。
黒は日本では礼服を1着、そしてディナージャケットを1着、計2着持っていれば十分だとわたしは思います。
結婚式のときは何もかしこまって、「黒しか着てはいけないのではないか、、」と堅く考える必要はありません。ダークネイビーかダークグレーであれば、何も問題はありません。
この2色であれば、普通に仕事でも着ることができますので、わざわざ年に数回しか着ない礼服を、急いで揃える必要はないと思います。
また、黒は最も素材の良し悪しが最も分かる色です。いい物を1着誂え、体型を維持すれば、末永く着ることができます。日常のワードローブで黒を着ることは、ぜひやめてみることをお勧めします。
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