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第4章 トラウザーズ
デニムを履かないという生活
今や全世界の国民服となったデニム。
安価で簡単におしゃれっぽい雰囲気が出せるデニムですが、わたしはこのデニムというアイテムをヘビーユースするのを、ぜひ控えてみるという考え方を発信したいと思っています。
まずわたしが思う前提といたしまして、スニーカーが革靴の履き方を崩し、そしてデニムがトラウザーズの履き方を崩し、スラックス、そしてパンツへと格下げしたと思っています。
股上の浅いタイトフィットのデニムを履き慣れることで、深い股上でゆったりとしたジャストフィットのトラウザーズを履くと違和感が出てしまい、履きづらくなってしまいます。
そのため現代の人たちは、スラックスも股上が浅く、ノータックでタイトなフィッティングでなくては満足できなくなってしまいました。
また、日常的にデニムを履くことにより、デニムを軸とした洋服選びになってしまいます。
デニムのサイズがこうだから、上はこういう風に合わせよう。というように、デニムありきで他の洋服を選ばなくてはいけなくなってしまうのです。
これをやることで、必然的に全てのアイテムがカジュアルダウンされることが避けられなくなってしまいます。
わたしが持っているデニムは3本のみです。ユーロリーバイス、ハリウッドランチマーケット、トムフォードというラインナップです。
話は脱線しますが、デニムでしたら、ノンウォッシュかワンウォッシュのどちらかを選ぶことをお勧めします。これは私の考え方ですが、ダメージ加工がされたものは決しておしゃれだとは思えないからです。
そもそも、時間を飛び越えて加工におしゃれを任せるという考え方がおしゃれではないと思います。
まっさらなインディゴブルーから、「ヒゲ」「アタリ」が出てくる様を楽しみましょう。
携帯を後ろポケットに入れている人は携帯の形で色落ちしていきます。自転車のよく乗る方であれば、お尻が先に色落ちしていきます。
履き続けていき、ご自身の履き方の癖が出てくるのを楽しむのが、デニムというアイテムの醍醐味です。
さて、話を戻します。私もデニムは嫌いではないので持ってはいますが、履く機会を極力絞っています。庭仕事をするときや、子供と遊ぶとき、またはレジャーのときと限定しています。
本来デニムは金鉱で一攫千金を狙うトレジャーハンターのために作られた、タフでラギッドなアイテムです。
それが戦後、ファッションが市民権を得たと同時にタウンユースになっていきました。
安価で大量に作ることができるデニムは、国民服にするにはうってつけでした。
古風な考え方かもしれませんが、わたしはそれぞれの洋服はできる限り、生まれた場所に近いシチュエーションで使われた方がいきいきすると思っています。
そのため、ツイードジャケットは街よりもカントリーの方が映えますし、グレーフランネルのスーツは田舎ではなくシティの方が活躍するのです。
デニムにコンバースでTシャツを着てしまえば、夏のコーディネートは簡単に完成してしまいます。
ですが、わたしの提案といたしまして、その一つ一つのアイテムを少しだけドレスアップしてみるということです。
そうしてみることで、ご自身の装いを大きく変えることができます。
たとえば、デニムからコットントラウザーズにかえてみる。
コンバースのようなスニーカーから、ローファーにかえてみる。
Tシャツからリネンシャツにかえてみる。
こうすることで、全体の印象がグッと引き締まります。
以上は夏の話ですが、冬であれば、ダウンではなくツイードジャケットにすることで、グッと洒落感が出ます。
これらのひとつずつのアイテムを少しだけ考えてかえてみることで、大多数のマジョリティな装いから、スタイルを持った、カジュアルダウンしすぎた洋服から脱することができるのです。
カジュアルダウンが決してわるいわけではありませんが、今の時代は何も考えずに洋服を選んでいると、自然にどんどんカジュアルに崩されていきます。
ほんの少し、フォーマルにすることを意識するだけで、何も考えていない人たちと一線を画したスタイルを築くことができます。
ぜひ明日から、何気なく無意識で履いていたデニムから、ひと思考練った装いをしてみてください。
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