Table of Contents
第3章 ジャケット
ウエストコート(ベスト)
ベストの歴史
「ベスト(Vest)」という表現は主にアメリカで使われることが多く、英国では一般的に「ウエストコート(Waistcoat=胴着という意味)」と呼ばれています。また、フランスでは「ジレ(Jilet)」と呼ばれています。本当はウエストコートと呼び続けたいのですが、あまりにもベストという呼び名が普及してしまっているため、ここではベストと呼ぶことにします。
ベストの起源を調べていくと、13~14世紀の「プールポアン」という服に行き着きます。元々軍服の護身着として使用され、やがて一般市民の胴着へと変化していきました。袖の付いたものが元々の形であったのですが、1870年頃に現代のスリーピース・スーツの装いが定着し、現代の形へと近づいていきました。
ベストのデザイン
デザインは5~6個の前ボタンを付けた襟無しのシングルブレステッド型が基本的な形で、ダブルブレステッド型やラペル付きのものとなると、よりクラシックな色が強くなります。前ボタンは5個より6個のほうがよりクラシックです。胴着という位置づけであったため、下着であるシャツはなるべく見えないほうがいいという考えの元です。ポケットは箱型のものが左右に2つずつ付き、身体にぴったりフィットしていることが理想とされています。
ベストを正しく着こなす
スリーピース・スーツのミスコーディネートで一番多いのが、ウエストコートの下前からタイが出てしまうことだと思います。もしタイが長過ぎてどうしても出てしまう場合は、応急処置として、ベストの中で折り返してしまうと出てくることはありません。トラウザーズの中に大剣と入れたとしても、すぐに出てきてしまいます。
トラウザーズの節でも書きましたが、理想的なスリーピースの装いにベルトは不必要です。ベストの裾からベルトのバックルが見えてしまっているのは本当に美しくありません。もしそれでもということでしたら、バックルを少しずらし、金具が下から見えないようにしましょう。
また、スリーピースでタイを結んでいない人もたまに見かけますが、これは絶対にやめていただきたいです。ウエストコートのVゾーンには、タイやアスコットタイなど、首元を締めるものが必要です。もしタイをしたくないのであれば、ウエストコートも着ない方がいいでしょう。雑誌やTVに出てるような方々の、非日常的な着こなしをあまり参考にしないほうがいいです。
また、スリーピースにはボタンダウンシャツを合わせないということも覚えておいてください。
ですがこれに関しては国毎のスタンスがあるので、すべてではありません。アメリカではセミワイドにダブルカフスのシャツを着ていると、英国気取りかと冷笑される場面もあります。アメリカのスタンダードはボタンダウンシャツであり、それはスリーピース・スーツの場合でもそれを合わせるのが正統派と呼ばれることもあります。アメリカとヨーロッパ、それぞれの世界観を逆なでしないように上手に取り入れ、気前よく着飾って愉しみましょう。
Atelier BERUN
東京都港区元赤坂1-5-20 702
- ◆HP :
- https://berun.jp/
- ◆Instagram :
- ◆Youtube :
- Atelier BERUN
- ◆Blog :
- 伊達男日和 -Dandyizm Life-
- ◆Tel :
- 03-6434-0887