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第9章 オーバーコート
カバートコート
コートが必要な季節にイギリスに行かれたことのある方は、必ず見たことのあるコート。しかし、日本では全く見かけることがないコート。それがCovert Coat(カバートコート)です。
ロンドンの中心地では、まるで制服のように多くのビジネスマンが着ています。
カバートという意味を調べると、「密かに、隠された、目につかない」という訳が出てきます。
1870年代に作られたカバートコートは、当時は貴族の狩猟のときに着るコートとして使われていました。
直訳の通り、動物から身を潜める、という意味でこの名が付けられています。
アウトドアで着られるものであったため、当時は着丈が短いコートでしたが、1930年代以降、ロンドナーが街で着る目的で使われるようになり、現在の丈の長さになりました。
しかしあくまでアクティブなコートであるため、膝下ではなく、膝上の丈が正統派です。
生地はカバートクロス、キャバルリーツイルと呼ばれる綾織のものを使います。
綾織(ツイル)に織ることにより、耐久性が増します。デニムも綾織であることからも想像がつきやすいと思います。
カバートコートは大枠の形としては、チェスターフィールドコート(俗語:チェスターコート)と同じ形ではありますが、この2つの見た目は全く異なります。
前ボタンは3つではなく4つが正統派です。それは、このコートが生まれた当時の1870年代は、前ボタンが4つであることが主流であったことの名残です。
まず、上襟にはベルベットを施しています。(正統派のチェスターフィールドコートはこの仕様です)
前立は比翼仕立てにしてあります。
そして最も特徴的なディテールは、裾口と袖口に4本のステッチが施されていることです。(カバートコートのことをあまり知らない日本の工場は、この仕様をとても嫌がります笑)
色はベージュ系が王道ではありますが、街で着る場合に合わせてグレーやネイビーのものも作られています。
より凝った仕様の場合、胸ポケットにもフラップが付きます。
日本では既製品で売っているものはほとんど見かけません。もし街で着ている方を見かけたら、その方は100%イギリスを愛する日本人です。
心はロンドナーだという方には、ぜひ一着持っておいていただきたいコートです。
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