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第3章 ジャケット
アイビーとブレザー
ブレザーは、着こなし上級者の人たちにとっては必要不可欠なものであり、おしゃれ初心者の方にとっても、まず揃えて欲しい1着でもあります。
もしワードローブの中に、仕立ての良いブレザーと、グレーフランネルのトラウザーズ、そしてコーデュロイのトラウザーズがあれば、いろいろな着こなしができます。
ブレザーというシンプルで普遍的でタイムレスなものこそ、良いものを1着持つことができれば、長い年月使うことができる、末長いパートナーになるでしょう。
ネイビーブレザーの魅力を一言で言いますと、何でも合わせることができるところです。
例えば、コーデュロイのトラウザーズに、フェアアイルセーターを中に合わせると、スポーティーな装いになります。
対して、カシミヤのニットに、チャコールグレーのフランネルのトラウザーズを合わせると、エレガントに見えます。
このように合わせ方次第で、フォーマルな場面でも、休日でもどちらでも対応することができるジャケットがブレザーなのです。
ブレザーという形を世に広めたものは、ずばり学生服です。
この学生服で使われるブレザーには、胸ポケットの位置に校章やモノグラム、クレスト(紋章)や、メタルボタンの付いているものがありますが、必ずしもそうでなくてはいけないわけではありません。
また、多くのブレザーはネイビーカラーですが、他には、キャメル、フォレストグリーン、バーガンディーという色のフランネル素材のブレザーもとても素敵です。
シングルがダブルかで悩まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはお好みで選んでいただいてよろしいと思います。
ブレザーは私のオススメとしましては、最低2着は揃えていただきたいです。
それはズバリ、春夏用のモヘアが入ったウールモヘアのブレザーと、秋冬に活躍するフランネル素材のブレザーです。
それを持っていれば、ご自身が今持っているワードローブと、何を合わせてもそれなりに素敵に見せることができるのがブレザーの最大の魅力です。
このブレザーを日本に広めた第一人者(人社?)と言えば、間違いなく1960年代から始まったアイビーブームです。
その筆頭となったのは、VANジャケット。
1965年にはアイビーは全盛期を迎え、本場アメリカ人も驚くほど、日本人がアメリカントラディショナルに邁進していました。
そのブームは疾風の如く過ぎ去り、社会現象にもなったアイビー旋風は終わりましたが、1970年代の半ば頃から、また再びアイビーファッションが注目されるようになりました。
この2つのブームの大きな違いで言えば、60年代のアイビースタイルは、本場アメリカから持ってきたものをそっくりそのまま真似するというスタイルでしたが、70年代に再び始まった。アイビーブームは、より日本的なエッセンスも加わったスタイルになったと言われています。
元を辿ると、イギリスから始まったこのブレザールックを、アメリカ人がアメリカ本土に持ち込み、一部の富裕層が楽しんでいたものでした。
そのスタイルを、我が子に伝え、そのエリートな学生たちがブレザールックに身を包み、アメリカの大学を闊歩したところから、アイビースタイルは本格的に広まっていきました。
戦後、アメリカから影響を強く受けていた日本では、ヨーロッパではなく、アメリカにファッションを学びに行く流れが生まれ、その結果、日本にアイビーファッションが持ち込まれるようになったのです。
私自身は、このアイビーファッションを真っ向から通ってきた世代ではないので、後から追いかけるように学んだ身ではありますが、昨今はアメリカ本土でも、このようなブレザールックに身を包む学生たちはほぼ皆無になっているそうで、このような伝統的文化が失われていくのを私は寂しく思います。
ブレザーという毎年のように買い換えるものではないからこそ、若いうちに間違いのない一着を持つことで、ワードローブの幹が手に入るのは間違いがないと思います。
擱筆 2026年6月
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