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第11章 その他
センスの磨き方
こういう見出しにすると、あたかも私はセンスがあります。と言っているように聞こえてしまうかもしれませんが、決してそういうことを言いたいのではないということを、先にお伝えしておきます。
センスの良い人はどのようなものを見て、何から学んでいるのだろうか、ということを私なりの解釈で書いてみたいと思います。
まず、いきなり答えになってしまいますが、近くにある情報ではなく、遠くにあるものから掴むようにすることを意識します。
今は簡単に情報が手に入る世の中になりました。しかし、そのような時代だからこそ、あえて不便をかって、遠くの情報を取りにいくことを心がけます。
携帯を開いてインスタを開けばかっこいい人たちを見ることができますし、何かを知りたいと思えばググるというのは当たり前の時代です。
昔はそのような検索媒体は雑誌でしたが、SNSが普及したため、より身近に情報が得られるようになりました。
この情報が簡単に取れるものになればなるほど、あらゆるものがそぎ落とされて、わかりやすく、見やすく、より伝わりやすくなっていきます。
知りたい情報をすぐに知ることができる、まさに情報のコンビニ化です。
では本当にセンスのある人で、常に新しいもの、美しいものを作り出している人が、そこから情報をたくさん手に入れているかというと、私はそうではないと思います。
音楽やファッションは、興味が湧いてくると、ルーツをたどりたくなるものです。
このアーティストが影響を受けたアーティストは誰か、というように、川上に登っていくことを我々はやってきました。
川上に近いものほど、抽象度が高くなります。
周りにはバリがついていて、今の時代からすると洗練されていない、野暮ったいものかもしれません。先人たちはそれを見て、よりわかりやすいようにブラッシュアップしてきました。
そして手に取りやすい川下まで来たものは、より具体的に解釈されたものが来ます。
川下に降りてきたものばかりつかんでしまうと、いつまでたっても”人生良いお客様”でしかいられません。
“良いお客様”から、自分の人生を豊かに楽しむ人になるためには、鮮度の高いものを見て、センスを磨くことが必要です。
この抽象度の高いものに触れるということが、今の時代とても大変なことのように感じます。
とても遠回りに感じてしまい、薬のように即効性があるものが求められる世の中です。
薬よりも漢方。漢方よりも食事。そして生活習慣を見直すこと。
人間を整えるためには、より俯瞰して自分自身を見つめる必要があります。
即効性よりも、基礎的なこと。
即効性はありませんが、それこそ自分自身を磨いていくことにつながっています。
SNSよりも雑誌。
雑誌よりも実際に店を訪れる。
そして映画を観る。
映画はまだ具体的なので、想像力を鍛えるという意味では、もう少し抽象度を上げていきたい。
美しいと言われているものに触れてみる。
建築、アート、工芸品、美術品。
そして何より間違いないのは、それらを生み出してくれている自然そのものに触れるということ。
絵画は自然から生み出されています。
工芸品も、建築も同じです。
そのためには、旅に出ることが何よりも大切なのだと私は思います。
2023年4月擱筆
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