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第3章 ジャケット
裏地は背抜きか総裏か
裏地の仕様をどうしようか。オーダーをしたことのある方なら考えたことは一度はあるのではないでしょうか。
一般的に夏であれば「背抜き」、冬であれば「総裏地」にすることが多いと思います。
昨今ではカジュアル化している影響で、季節を問わず「アンコンジャケット」と呼ばれる背抜き仕様のものが増えてきました。
<アンコンジャケット>
アンコンジャケットの名前の由来は、
”Unconstructedアンコンストラクテッド=非構築的な”
という言葉から来ています。
従来の英国を重んじる構築的な(形式ばった)ものとは正反対の作りで、肩パッドや内側の副資材を取り除き、シンプルで着心地を最優先した仕様です。
アンコンジャケットのルーツは「洋装のカジュアル化の流れ」に詳しく書いています。
アンコンジャケットは着やすく、こなれた雰囲気が出るため人気があります。わたしもいくつか持っており、カジュアルシーンでは着用しています。
しかし本来の作られた目的は、永く着用するために作られたものではありません。ビジネスシーンで着用するスーツをアンコン仕立てにするのは、本来の着方とは少し変わってきてしまいます。
何もかも非構築的に、省いていってしまうと、スーツの本来もっている”威厳”が失われてしまいます。
オーダーをすることの愉しみは、”時代に流されないスタンダードなものを求める”ということだとわたしは思っています。
人や素材にもよりますが、わたしは夏物でも総裏地で仕立てることが多いです。なぜなら、背抜きにしてしまうことで、背中の汗が直接表地に触れてしまい、表地の痛みを早めてしまうことにつながるからです。また、シャツと摩擦がおき、それも表地の疲弊につながります。裏地は表地を守る役目をもっているのです。
そのかわり、夏物は薄い裏地を使用します。そして表地も薄く、ハリのある生地を使います。
既製服で流行の物を着るならいいですが、せっかくビスポークで仕立てるのでしたら、永く着られる物を作ったほうがいいと思います。
わたしが総裏か背抜きか選ぶ基準ですが、ネイビーなどの濃色系のビジネス用ジャケットの場合は、シャツが透けてしまうため、総裏地にすることが多いです。
明るい色のジャケットや、リネンやコットンなど、カジュアル系に着る用途のものは、背抜きにして軽く着る一着として作ることが多いです。
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