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第3章 ジャケット
ポケットチーフは入れるべきか
スーツの胸ポケットには、ポケットチーフを入れましょう。決して、ペンやメモ帳を入れてはいけません。
胸ポケットが生まれたのは、1850年頃からといわれています。意外と歴史が浅いのです。
ここでぜひ、一つ持っておいていただきたいチーフがあります。大事なポイントは3つです。
1、リネン(麻)素材
2、色は白
3、周りのふちをミシンではなく、手でまつられている物
以上の3点です。この条件を満たしているものが、正統なポケットチーフといわれています。
リネンを選ぶ理由ですが、ポケットチーフは元々、手を拭く際に使われていました。抗菌作用もあり清潔感のある高級素材のリネンは、貴族階級の象徴でした。しばらく使用して張りを失ったチーフは、その後グラス磨きへと活躍の場を移されたそうです。
周りがミシン縫いの物と手縫いのチーフを見比べてみると、ミシンでたたかれた物は端が平坦で、味気なく見えてしまいます。手でまつられた物は立体的でふわっと立体的に見え、柔和な印象を与えます。
世の中には色彩豊かで華やかなチーフがたくさんありますが、わたしはあまりそういった物はお勧めしません。なぜなら、今のご時世、胸元にチーフを挿すことがすでにオーバーステートメント(過剰)であり、それ以上飾り立てる装いはあまりスマートではないからです。
ホワイトリネンのチーフをTVフォールドで入れるときも、「しっかり鏡を見て入れてきました」というように綺麗に入れるより、「入っていました」くらい無意識なくらいの方が自然で素敵です。
チーフとネクタイは合わせてはいけない
数年前に流行った、ネクタイの色とチーフの色を合わせるコーディネイトは、絶対にやってはいけません。なぜかと言いますと、あからさまにおしゃれをしてきました、というように見えてしまうからです。
洋服の着こなしは色々とテクニックがありますが、わかりづらいほど高度でセンスが求められます。つまり反対に、わかりやすいテクニックは、それをやるだけで、その人のレベルが明らかになってしまうのです。
間違い探しの、月が太陽になっている!!というくらい、簡単なゲームをしていると思ってください。そこで楽しみを見出すのもわるいとは言いませんが、もっと高度で楽しい世界が広がっているので、そこに気がついてほしいという思いです。
白シャツを着ているときは白のリネンチーフ。ピンクやサックスブルーのシャツの場合も、白でいいでしょう。ネクタイには合わせず、おしゃれさをアピールするものではなく、あくまで清潔感を表すものとして、お考えください。
柄物のポケットチーフ
<柄物のポケットチーフ>
ジャケットのコーディネートの場合は、白に限らず、柄物など華やかなチーフを選んでも大丈夫です。この場合も原色ではなく、なるべく柔らかな色を合わせた方が素敵です。
チーフはマナー違反?
よくチーフを勧めると、「上司に生意気だと思われないかなぁ」と、心配される方がいらっしゃいます。私は洋服屋なので、どうしても洋服屋からのポジショントークになってしまいますが、チーフは差した方がいいか否かでいえば、確実に入れた方がいいと思います。
チーフをお洒落アイテムだと思っている方がいるかもしれませんが、それは勘違いで、ただ清潔感を表すためのものです。私の中ではハンカチと同じものだと思っております。
チーフを入れている奴は生意気だ。
ベルトをしないなんて社会人失格だ。
など。いまだに日本がファッション後進国であり続けるのはそのような頭の硬い人たちがいるからに他なりません。
とは言いましても、皆様がどのような職場、環境にいらっしゃるのかわからないため、絶対とは言い切れません。わたしの中でお勧めといたしましては、ほとんど見えないくらいに深く入れるということ。近くで見れば、チーフ入っているんだな。と気づいてもらえるレベルです。
そのくらいであれば、入れていても誰も不快感を感じることはないでしょう。それでいて、入れることによる清潔感を出すこともできるため、深く入れる入れ方はひっそりと楽しみたい方にはおすすめです。
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