【伊賀崎様】スーツは鎧であり、仕事の相棒だ。
伊賀崎様
お洒落には興味がない、だから任せた。
伊賀崎(敬称略):ちょうど2年前に、友人の紹介で竹内くんと会ったね。確か新宿の雑然とした飲み屋で。カッコいいコートを着て佇んでいた竹内くんがひと際目立っていて印象的だった。
竹内:そうでしたね。
伊賀崎:竹内くんが当時28歳と聞いたときは驚いた。貫禄があって若いのに本当にしっかりしているな、と関心したね。
竹内:伊賀崎さんは、とても頭が良さそうだという印象がありましたが、まったくファッションには興味がない様子でした。
伊賀崎:今もないよ、お洒落に興味はない。
あの時、3年前に買ったスーツを買い換えようと思っていたけど、何を買っていいかわからないから「任せるからいいものを作ってくれ」と伝えたんだ。
竹内:私のお客様には洋服に興味がない人が多いですね。
私は興味を持ってもらう必要はないと思っています。むしろ全然違う業界の人なのに、毎月ファッション雑誌をチェックして最新のスタイルを取り入れている人には言いたい。その時間があるんだったら、自分の仕事や人生、もっと専念できるものがあるのではないでしょうか、と。
伊賀崎:このスーツを買ったときも私は何もしてない。最初はそれこそ彼女と一緒に生地選んだりしたけど、それで良いのができたから、その後はすべて竹内くんに任せることにした。
大きく、強く見せたかった。
伊賀崎:最初にできたスーツに袖を通したとき「思い描いていた戦闘服だ」と思った。
私は30代前半の頃から責任者として立つことが多く、チームも今は数十人くらいいる。相手のほうが年上のことが多いし、自分を「年上に見せる」「大きく見せる」「しっかり見せる」「信頼してもらう」ことがとても重要なんだ。だから、しっかりと、大きく強く見せるスーツが必要だった。
そのイメージを伝えて「とにかく丈夫なやつを作ってくれ」と言って、その期待通りのスーツだった。
竹内:これ以上ないくらいにしっかりしたものを作りました。もうガチガチに硬くて、3年後にやっと馴染んでくるような。薄い生地のスーツが多い中で、昔の織り機を使って太い糸をゆっくり織っていく生地を使っています。
伊賀崎:そう、重くていい。軽い必要はなかった。
私はこれまで何度も、切った張ったの現場を乗り越えてきた。「やばい!」と、内心震えるような局面もある。このスーツは、内心は臆していることを悟らせないための鎧のような存在なんだ。
スーツは仕事の相棒
伊賀崎:私にとって、スーツは仕事の相棒だね。
自分の相棒として信頼できるスーツがあるから、より自信をもって仕事ができる感覚がある。「よし、今日は頑張るぞ、相手に信頼してもらおう!」って思える。
みすぼらしいスーツだったらダメだったという局面はあったんじゃないかと思う。
竹内:伊賀崎さんという人格があって人間性がある中で、仕事で実績をあげてきた。その人となりが確立された感じがしています。
「堂に入る」という言葉がふさわしい、もともとあったものが確立された、そんな感覚があります。
「実績出してさえいればファッションは関係ない」という人もいる中で、実績も出して、服装にも気を配っているという、両方に関心があるのが嬉しいです。
今、何を求めているか、それに応えるスーツである
伊賀崎: 今、私は背伸びをしたい。30代前半から責任者をしている中で、年下に見られたり、できないって見られたりしたらまずい。
でもどこかで自分自身に自信がついて、それも関係なくなるときがくると思う。
そのときは、着るスーツの幅が広がるかもしれない。
今は大きく強く見せてくれるスーツを欲しているけれど、そうではなくて、もっと自然体なものだったり、もしかしたら将来は若く見せてくれるスーツを竹内くんに頼むかもしれない。まあ、向こう5年は自分を強く見せるものがいいと思う。まだまだだからね。
竹内:9年仕事をしていて、長く付き合っているお客様の中には役職が変わっていく人がたくさんいます。最初はスリーピースしか作らなかったけれど「威張っているように見せたくない」と言い出して、そこから3年間ジャケパンしか作らないという人もいました。
伊賀崎:仕事において、スーツに何を求めるのか、どう見せたいのかを、また相談すると思う。それがBespoke(=あつらえる)ということなんだと思う。
自分のプロフェッショナルに専念をする
伊賀崎:BERUN竹内くんの魅力は、スーツの質が良いというだけではなくて、自分の状況や何を求めているのかということに基づいて提案してくれるところ。私のように、若くして責任者をやらなくてはいけない、内心不安を抱えながら仕事をしている人は多いと思う。そういう人が求めているものに応えてくれるのが竹内くんだ。
それに、私はスーツを選ぶ力がない。何を着たら良いかわからないし、その興味もない。その時間を他の勉強だったり、人に会うことに費やし、自分の仕事に専念したいと思っている。だからスーツのことはそのプロである竹内くんに考えてもらい、選んでもらいたい。
自分の仕事にプロフェッショナルとして専念をすることで、より価値を出していけると思うから。