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第1章 洋服の哲学
現代のウェルドレッサーになってはいけない?
雑誌やSNSを見ていると、いつも目にするお洒落な男たちがいます。有名な方もいれば、一般人ですが有名人のようなくらい知名度のある方もいる昨今です。
ウェルドレッサーとはここ数年で雑誌に登場する機会が増えた言葉ですが、この言葉は、本来は「気づかれない」ほど繊細で巧みな着こなしをする「装い巧者」のことをさします。ですが最近はやけに目立った人たちの着こなしがもてはやされているのが気になります。
このような人を見ていてふと頭の片隅に、
「自分もこんな風にお洒落になって皆に認められたい」
という考えがよぎったら、その考えは否定する必要はありませんが、それを目指すのは野暮だということはお伝えしておきます。
なぜかと言いますと、雑誌やSNSに出てくる人たちは、必ずその人独自のスタイルがあります。そのスタイルというのは、「”今”もてはやされるスタイル」です。
そのスタイルは、必ずどこか「やらかしているポイント」があります。
そのポイントが、雑誌やSNSのような移り変わる媒体にはちょうどよくウケるのです。
自分が有名人であれば話は別ですが、もし一般の方で、自分独自のスタイルを作り上げていきたいと思われているのであれば、そういう媒体には耳を貸さず、コツコツと地道に「自分の道」を歩いていくのが正解です。
わたしが提案しているクラシックスタイルは、それらの媒体には物足りない、一見すると味気ないスタイルです。
現代のウェルドレッサーとして長らく媒体には出続けている人たちは、常に時代の変化と共に変化・進化し続けている人たちです。
その方たちはファッションをビジネスとして生計を立てている人たち、もしくはファッションに人生を捧げている人たちなので、常に変化し続けて新しいネタを作り続けることができるのも頷けるでしょう。
しかしファッションを仕事としてではなく、日常の一部として関わるほとんどの方にとっては、そのやり方を真似してしまうと、毎年アップデートしなくてはならず、いつの日か疲れ果てて洋服嫌いになってしまう可能性があります。
わたしの周りにも、流行を追いすぎて何年か経ったあと、悟ったように洋服はユニクロでいい。と言い切る人が何人もいます。
わたしはほとんどの方にとって、洋服は必要最低限でいいと思っています。
時代が変わっても価値が残り続ける物。
気をてらったデザインではなく、良い生地で良い仕立てで作られた洋服は、10、20年と、自身のクローゼットを引き立て続けてくれるでしょう。
また、ウェルドレッサーの前に、”現代の”と付けているところがミソです。
何十年経っても格好いいと評価され続けている男たちこそ、真のウェルドレッサーです。
ケイリーグラント、フレッドアステア、トムウルフ、etc。
彼らは現代のファッションのように、表面的でわかりやすい見せ方にこだわっておらず、筋のある本物のスタイルを作り上げた人たちです。
彼らの着こなし、身のこなしは多分に参考にするといいでしょう。
参考にする人は1960年より前がいいと思います。
(欲を言えば白黒の時代ですね)
そこから新しくなってくると、ファッションが商業化してくるため、使い捨てのきらびやかなファッションが目立ってきます。
わたしは常日頃皆さまに言っていることは、装いはほどほどでいいということです。過度な装いは必ずどこかにいびつさが生まれます。自分自身が自然でいられる装いが、究極の理想です。
男のお洒落というのは、そのくらいがちょうどいいのです。
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