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第2章 スーツ
スーツ
なぜ、スーツとよばれるようになったのでしょうか。スーツという呼び名は略語であり、正式には“ラウンジ・スーツ”とよびます。
元々ラウンジ・ジャケットは、モーニング・コートのような正装から、「ラウンジ・ルーム」と呼ばれる場所へ移ったときに着ていた、現代のカーディガンやジャージに似た扱いの衣服でした。これがラウンジ・スーツとなり、1880年頃から、「近所を歩くくらいならいいだろう」ということで、外でも着られるようになったのです。「スーツ(suits)」の原形は「スート(suit)」であり、複数形になることで「スーツ」となります。これは「ひと揃い」という意味で、トランプのひと組も「スーツ」とよびます。これはジャケット、ベスト、トラウザーズの3点がひと揃いの生地を用いるようになった頃からよばれるようになった言葉です。ちなみに後ろに“e”の付いたホテルの「スイート(suite)」は、寝室とは別に、居間などの部屋が一組になっていることを、そうよぶのが元になっているそうです。
19世紀の中頃までは、男の衣服はすべての服を同素材で仕立てることはなく、すべて異なる素材でつくられていました。今でもその顔を残すのが「モーニング・コート」や「イブニング・コート」です。それぞれのパーツに適した素材を用いるという、費用と時間をかける贅沢な発想でした。当時は馬での移動がメインであったため、トラウザーズの生地はより厚手な物を選んでいたことから、各アイテムで素材が異なっていました。モーニング・コートやイヴニング・コートが、モーニング・スーツと呼ばれないのはそのためです。
現在わたしたちが気合いを入れて着ているスリーピースは誕生当時、男達の”くつろぎ服”だったのです。ここでも、当時の人達の洋服に対する思いの強さが感じられます。
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