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第10章 季節
My favorite things
昨今の日本の夏の暑さは異常です。思わず、「夏はおしゃれなんてしていられない!」とおしゃれを放棄してしまう方も多いと思います。
わたし自身、「お洒落は我慢」という言葉はすでに死語だと思っています。無理矢理暑い夏でもジャケットやスーツを我慢して着てください。と言いたいわけではありません。
むしろその反対で、暑い夏だからこそ、いかに快適に涼しく、スマートに着ることができる洋服を持つことができるか、ということを考えることが大切だと思っています。
夏はなんといってもリネンシャツ
他の項目でも書いておりますが、夏はリネンシャツに限ります。
Tシャツに短パン、サンダルで過ごしている方には、私はぜひともそのTシャツの代わりにリネンシャツを着ていただきたいと思っております。
<Linen Shirts>
Tシャツで素肌を出した方が涼しくて快適だと思われがちですが、リネンシャツの風通りの良さは格別です。
肌に直接日光が当たらないことで、体温の上昇を抑えることができます。綿100%のTシャツと異なり、麻100%のシャツは速乾性に優れているため、汗をかいてもすぐに乾いてしまいます。
夏にリネンシャツはなくてはならないマストアイテムです。
ショートパンツもカジュアルすぎないものを
暑い夏は私はショートパンツを履きます。
日々、「カチッとした洋服しか着ないんじゃないですか?」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、私もアメカジやモード、古着など、あらゆるファッションのジャンルを通ってきましたので、それら全てを否定することなく、自分の今のライフスタイルに合うものを自由に選んで取り入れています。
ですが、そのショートパンツ一つとっても、カジュアルすぎないものを選んでいます。
ショートパンツという、何もしなくてはカジュアルになりきってしまうアイテムだからこそ、いかにエレガントに見せるか、ということを考える必要があります。
2021年に初めてBERUNでショートパンツを作ってみました。それをこちらでご紹介させていただきます。
インの2タック、そしてベルトループ無し。サイドアジャスターでウエストを絞るドレッシーな形です。
アイテムの面積が狭いものこそ、フィッティングがとても大切です。
ヒップから裾にかけてはゆとりを持たせ、ピチピチのサイズ感にしないことが大切です。
数年前まではグルカショーツ(グルカパンツ)を愛用していましたが、ここ1、2年のサファリルックブームで人気に火がつきすぎてしまったので、しばらくお休みしています。
スニーカーからローファーへ
簡単で履き心地がいいスニーカーでもいいですが、ぜひカジュアルな機会だからこそ、ローファーを履くという選択をしてみていただきたいです。
何度も書きますが、アイテムが減る季節だからこそ、一つ一つのアイテムの純度を上げていく必要があります。
冬ではなんとなくごまかせていたものも、夏になると全てのアイテムが露呈されてしまいます。
シャツ、スラックス、靴、この3つでいかにお洒落さを出すか、ということが問われます。
<JM WESTON>
日本で今ドレスよりのローファーといえば、このローファーの右に出るものはいないでしょう。価格が上がり、クオリティが下がり続けている今のウェストンに拍手を送ることはできませんが、昔はとてもいいものづくりをしていました。
スーツにも、ジーンズにも、ショートパンツにも合わせられる素晴らしくバランスのとれらトラディショナルローファーです。
<ビットローファー>
1953年にグッチが馬具の形を模した金具を付けたローファーを出したのが、このデザインの始まりです。
左はチャーチのヴィンテージのもの。右はオールデンのケープコッドシリーズのもの。ビットローファーは大人の雰囲気もありながら、若造が背伸びをして履いていても許される、懐の広いローファーです。
左のコインローファーはクロケット&ジョーンズのボストンです。私がイギリスに留学していた時に、ノーザンプトンのB品で当時£100で購入しました。当時山のように靴を買いましたが、今も残っているのはこの靴だけです。アメリカらしくない、でもボストンという名前。イギリス人がアメリカ靴をイメージして作ったような、絶妙なバランスの靴です。とても大好きなので、おそらくずっと持ち続けると思います。
右の靴はタニノ・クリスチーのタッセルローファーです。こちらのブランドの歴史は古く1876年創業。
メンズラインは2000年代には終了してしまい、続いてブランド自体も2011年に経営難にて廃業してしまいました。乗馬靴を得意とするブランドで、レディースのジョッパーブーツの美しさは素晴らしいの一言です。
私が好きなイタリア靴の中の一つです。今のイタリアらしさはないですが、時代を超えた、美を追求した時代のイタリアらしさを感じるブランドです。
今は中古、古着市場で見つけることしかできなくなってしまいましたので、まるで宝探しをするように、自分のサイズに合うものに出会い、かつデザインがドンピシャだったときは、飛びつくように手に入れています。
夏にはデッキシューズという選択もあり
夏にしか履けない、というわけではありませんが、夏にしか履きたい気分にならない靴があります。それがデッキシューズ。名前の通り、当時は船の上で履くために作られたものです。
デッキシューズという形が完成したのは1935年で、実業家であり船乗りでもあった、ポール・A・スペリーによって考えられました。
彼が船の上にいたとき、滑って甲板から落ちてしまったことをきっかけに、滑らない靴を作ろうと思い立ちました。
(失敗をバネに、そして歴史を作ってしまうというあたり、さすが実業家ですよね)
この靴は「トップサイダー」というブランドとして、世界に売り出されていくことになります。
第二次世界大戦では、アメリカ海軍のユニフォームとして使われるなど、アメリカ国内での支持を確立しました。
デッキシューズとショートパンツの相性はとてもいいです。ポロシャツにショートパンツ、デッキシューズという組み合わせは一つの完成形でしょう。
<JOHN JOBB>
私自身、トップサイダーのデッキシューズはまだ持っていません。探しているのですが、USA製のもので、状態が良く、私のサイズとなると、なかなかいい出会いがないのです。
トップサイダーを履くとプレッピースタイルになりますね。私はあくまでドレッシーに履きたいので、ジョンロブのデッキシューズを持っています。
サンダルにも気を遣ってみる
夏はついついサンダルに足が伸びてしまいます。かくいう私もそうです。ですが、ぜひそのサンダル一つの選び方をもう一度考えてみていただきたいのです。
私の洋服の基本の考え方は、カジュアルすぎず、フォーマルすぎず、あらゆる場面で適応することができる服装を心がけています。
カジュアルすぎてしまうと、突如、「この格好ではまずかった。。」という場面に出くわしたときに困ってしまいます。
自分なりの一定の線引きをしておくことで、秩序が守られる服装でいることができます。
私の日々使っているサンダルはこちらの2足です。
左はジャコメッティのグルカサンダルです。このサンダルも、ここ1,2年で一気に人気になってきましたね。似たような形のサンダルは出てきていますが、昔からこの形で、本気の物作りをしているジャコメッティが圧倒的に美しいです。
右はニードルズのものです。ビルケンシュトックでも同じような形が出ていますが、さすがニードルズと言いたいところは、足を乗せる部分の革がコードバンなのです。水に弱いコードバンを、夏のサンダルの足を乗せるところに使うという、ユニークな物作りがさすが!と思い、愛用しています。
何度もお伝えいたしますが、アイテムが減る夏こそ、一つ一つのアイテムのことをしっかりと考えていくことが大切です。
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