年中カビと付き合う日本​

夏は梅雨、秋は長雨、冬は結露と、年中湿度が高い日本では、ふと気がつくと革靴や鞄などの革製品がカビていた、、ということがあります。
初めてカビと出会ったときは、思わず目を背けたくなる気持ちになります。靴箱を開けたらお気に入りの靴が、、ということもあるでしょう。もちろんプロに任せたら綺麗に仕上げてくれますが、コストもかかります。
ここでは、わたしが日々やっているカビのケアの方法をお伝えしたいと思います。

カビを水で洗うのはNG

靴にカビが生えていたら、思わず目を塞ぎたくなる気持ちで、水で洗い流してしまいたくなるかもしれません。ですが、それはカビ除去の方法で最もやってはいけないことです。
表面的には綺麗になったとしても、中ではカビ菌が増殖して、更なる悪化を生みます。

自宅でできるカビ取り方法

もしカビが生えていることに気がついたら、カビ取りクリーナーを揃えてください。同じものがなければ類似品でも大丈夫ですが、これからご紹介するものは、わたしが今まで使った中で最も効果的な製品です。

①表面のカビをタオルで拭きとる

作業に入る前に、カビの胞子が舞うリスクがあるため、マスクと使い捨ての手袋を用意しましょう。
まず表面に浮かび上がってきたカビを、いらないタオルを使って拭きとっていきます。このとき気をつけていただきたいのは、一度拭いた面はもう使わないこと。拭いたら別の面を使い、タオル全体を使ってカビを取っていきます。
ティッシュや古いTシャツでもわるくはありませんが、厚みのあるタオルの方が、より多くのカビを取ることができるのでおススメです。

②カビ取り&クリーナーでカビを拭きとる

こちらの製品は、石油系の溶剤でできており、市販で売っているもので最も強力なものです。他社製品で、有名な製品まありますが、わたしはこちらを使用しています。何よりコスパがいいです。こちらを使うときは手袋を着用しましょう。
この液体をタオルにつけ、靴全体を拭いていきます。なぜカビの生えた部分だけではないのかと言いますと、カビの胞子は空気中に舞っているため、表面に出ていないところにもカビ菌は沈着しています。そのため、靴全体を拭いていきます。この作業をすることで、革はすっぴんの状態になります。
この作業をした後は、半日ほど陰干ししておくといいでしょう。

③デリケートクリームを塗る

すっぴんの状態で置いておくことは、革にとってあまり安全ではないため、長期の陰干しに入る前にクリームを塗っておきます。布に軽くクリームを付け、靴全体に薄く塗っていきます。

④数日間、外で陰干しする

天気のいい日を見計らって、靴を数日間、長期的に外で陰干しします。直射日光を当ててしまうと、革が硬化し、変色する可能性があるため、風通しのよいところで陰干しします。4〜5日ほど置いておくといいでしょう。

⑤室内に戻し、通常通りの手入れをする

靴を室内に戻した後は、いつも行っている手入れをして終了です。わたしの日頃やっているメンテナンスはこちらで参照していただけます。
https://berun.jp/magazine/shoepolish/

カビは死滅しない

カビは表面的には綺麗になったとしても、カビ菌は完全には死滅しません。やはり一度カビが生えた革製品はカビやすくなります。わたしも同じ靴棚に入れていても、毎シーズンカビてしまうものと、隣に置いてあるのに全くカビない靴があります。
日頃から、なるべくカビを生えさせないような部屋作りをすることを心かけましょう。

日頃からできる行動

日本の高い湿度で、靴にとって劣悪な環境があります。それはなんと下駄箱です。靴を入れるための棚なのに、靴にとっては非常に居心地のわるい環境だというのもとても皮肉な話です。
密閉されている空間はカビにとっては絶好の環境です。
この環境を少しでも良くするために、常に空気の流れを作ることをお勧めいたします。
扉を常に少し開けておくといいでしょう。また、思い切ってドアを外して、レースか何かをつけてもいいと思います。
扇風機で部屋の空気を循環させておくことも効果的です。
ちなみにわたしの経験則ですが、除湿剤などといった製品は、ほぼ気休めだと思います。やらないよりはいいですが、あまり効果的ではありません。