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第4章 トラウザーズ
スーツにベルトは必要か
ベルトの起源
ベルトの起源はローマ時代の「バルテウス(balteus)」とされており、元々は、剣を吊る革具でした。その後、戦争で兵士が様々な武器や道具をぶら下げる物として使われていました。紳士のトラウザーズを支える物として使われるようになったのは、最近の話です。
日本でのベルト事情
日本では、スーツにベルトを着けるのは当たり前と言われています。
着けていない人は、「社会人としてどうなんだ?」と言われてしまう環境もいまだにあるそうで、社会人として(悲しいかな)当たり前の道具になっています。
しかし、スーツが誕生したばかりの頃のスラックスには、ベルトループは付いていませんでした。
今はベストがないツーピーススーツが主流ですが、ひと昔前までは、スリーピーススーツが基本でした。
このツーピーススーツか、スリーピーススーツかで、ベルトを着けるかどうかが分かれます。
わたしはスリーピーススーツにベルトを着けるスタイルは、決しておすすめしていません。
なぜかと言いますと、ベストを着たときにベルトを着けていると、ウエストの部分にベルトの厚みが出てしまい、胸周りから腰にかけてのきれいな曲線を邪魔してしまうからです。
スリーピーススーツは、ウエストコート(ベスト)とトラウザーズが、一体化しているように見えるのが理想なのです。
ベストの裾からトラウザーズがつながって見えるようなシルエットが理想的です。
ベルトレスのススメ
より正統派でシルエットの綺麗なトラウザーズを履きたいのでしたら、ベルトループのない「ベルトレス」にしてみることをお勧めします。
また、より良いフィッティングを求めるのであれば、ブレイシーズ(アメリカではサスペンダー)で吊り上げるスタイルだと、よりシルエットが綺麗に見えます。
ブレイシーズのメリットは、腰で”履く”のではなく、肩で”吊る”ため、ウエストをぴったり作る必要がないのです。
わたしが持っているスリーピース・スーツのトラウザーズは、ほとんどがベルトレスです。
そして、トラウザーズの横にアジャスターが付き、内側にサスペンダーボタンが付いている仕様にしています。
<ベルトレス・サイドアジャスター仕様>
「ブレイシーズはどうしても使いたくない、抵抗がある」
という方でも、わたしはベルトレスをお勧めします。
なぜかと言いますと、写真に付いているサイドアジャスターがすでにベルトの役割を担ってくれるので、ウエストのサイズ調整が容易にできるからです。
ベルトレスは西洋では標準になりつつある
イギリスやイタリア、フランスなどの洋装先進国では、ベルトレスのトラウザーズを履いている方が多くいらっしゃいます。
現実的な話ですが、西洋でも夏のカジュアル化が進んでいます。しかし、シャツにトラウザーズだけのカジュアルなスタイルでも、彼らはお洒落を愉しんでいます。
彼らはシャツだけの格好のときにも、ベルトレスのトラウザーズを履いています。日本ではあまり見かけませんが、とても格好いいです。
スーツのオーダーはハードルが高いと感じられる方も、トラウザーズとシャツだけをオーダーしてみるだけで、夏のスタイルが一新することを感じてもらえるでしょう。
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