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第1章 洋服の哲学
歳をとることを愉しめる
わたしがテーラードの世界に興味を持ってよかったと思うひとつの点ですが、それは歳を重ねることが楽しみになったというところです。
日本はいつからか若返り願望を持つ思考が広がり、50代なのに30代に見られたいなど、現実離れした美を追い求めるようになってしまいました。
「美(beauty)」が大きなビジネスになっているアジア圏では、表面的な美しさにこだわりすぎてしまい、内面的な美を追求することを怠っているように感じてしまいます。
欧州、ことフランスに目を向ければ、80,90代でシミとシワだらけの顔をしたマダムが、とても若々しく年相応の楽しみ方を送っているのを見かけます。この姿を見ると、日本はまだまだ文化後進国なんだなと思わざるを得ません。(それが100%正解!と言いたいわけではありません。あくまで例です)
テーラードの世界にはR指定の洋服がいくつかあります。歳を重ねてからでないと似合わない洋服があるのです。
例えばこちらのコートは、ポロ競技のときに着られていたポロコートというものですが、まさにR60くらいのコートであると思います。(私は背伸びをして30歳のときに仕立てましたが、完全に着負けしています…)
キャメル100%の生地で作られる本格的なポロコートは、若者には着こなせない、人生の年輪を重ねた男性にしか着こなせない風合いがあります。
このポロコートは今、若い方でもたくさんの方が着ていますが、それは着丈を短くしていたり、素材をキャメルではなく、ウールにしていたりと、カジュアルダウンさせているものがほとんどです。
また、ベタなアイテムではステッキなんかもそうですね。健康的に歩ける人がステッキを持っていても、コスプレ以外の何者でもありません。
このように、20代のときには、30代になったらもっと格好良く着こなせるようになっているだろうか。。
と愉しみになりますし、その次は40代になったら、、と歳を重ねるのが楽しくなります。
デニムやTシャツのようなカジュアルファッションでは、誰が着ても履いてもWELCOME!!と懐の深さがいいところではありますが、男なら、一筋縄ではいかない一家言あるような洋服に袖を通してみたいと思うものです。
それを早く着られる年齢になりたいと思いを巡らせながら、自己を磨くことこそ、テーラードの世界の愉しみ方だとわたしは思います。
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