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第2章 スーツ
春秋のスーツの選び方
昨今では四季がなくなり、二季になっていると言われていますが、洋服の世界に身を投じ、一年ぐるりと年を回れば、しっかりと春と秋はあるじゃないかと感じるようになります。
春を3~6月までの4ヶ月、秋を10~11月までの2ヶ月と考えてみると、しっかりと半年もあります。
ここでは30度に行く手前、もっといえば、15~25度くらいまでの時期に活躍するスーツの選び方についてお話いたします。
強撚糸のスーツ

強撚糸とは呼んで字の如く、強く捻り上げた糸のことを指します。
強く捻り上げることで、ガッチリとしたドライな生地感になり、通気性がありながらタフな仕上がりになるのです。
湿度が上がってくる春と秋こそ、強撚糸で作られるスーツはとても活躍します。
生地が丈夫なため、シワにもなりづらく、出張使いにも向いています。
強撚糸の代名詞といえば、Fresco(フレスコ)と呼ばれる生地です。
現在では英国のHardy Minnisという会社が商標を持っています。
日本ではポーラとも呼ばれている生地で、昔から日本でも使われてきております。
<Fabric by Hardy Minnis Fresco Lite>
<Fabric by Holland & Sherry 3PLY>
<Fabric by Hardy Minnis 3PLY>
トロピカルウール
春のもう一つの定番生地と言えば、トロピカルウールが挙げられます。強撚糸の生地はゴリっとした強い生地感なのに対し、トロピカルウールは軽く平織りで織られている生地で、サラッとした上品な見た目になります。
通気性が高く、風が抜けやすい作りのため、春と秋、そして真夏の手前まで着用することができます。
<Fabric by Dormeuil>
<Fabric by Holland & Sherry>
<Fabric by Schofield & Smith>
<Fabric by Taylor & Lodge>
コットンスーツ
ウールのスーツではなく、カジュアルなスーツを楽しみたいというお方に、コットンスーツをおすすめいたします。
まだ湿度と気温がそこまで上がりきっていない春と秋にだけ活躍する場面がある、とても限定的なスーツです。
コットンは保温性があまりないため、冬は寒くて着られない。そして、夏はべたっと生地が肌に張り付いてしまうため着られない。
そんな年間を通してベストシーズンが限りなく短い、儚さゆえの格好良さがコットンスーツにはあります。
つい長いシーズン着られるものが欲しいと考えてしまいますが、短いシーズンにしか着られない洋服をそれぞれの季節で揃えておくという考え方も素敵です。
着る時期が短いということは、その分季節性があるということなので、スーツで旬を味わえるのです。
和服にも、8月にしか着られない織や柄があるというように、その時だけ楽しめるものを味わうというのは、洋服を着るという喜びの中でも最上クラスの愉しみ方の一つだと思います。
コットンスーツは、ウールのようなしなやかな着心地があるわけではありません。コットンの硬さを全身で感じるのですが、その程よいカジュアルさ、肩の力の抜けたエレガントな様は、大人のカジュアルスーツとして今後も存在し続けるでしょう。
<Fabric by Brisbane moss>
ビジネスシーンで着る場合、タフなスーツがいいなら強撚糸。上品なスーツがいいならトロピカル。
ビジカジシーンで着たい場合はコットンスーツ。そのように考えるとよろしいかと思います。
2026年9月擱筆
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