(写真は追って掲載します)

ロミーシュナイダー、イヴモンタン、サミーフレイの三角関係の物語。
あまり有名な映画ではありませんが、リアルクローズのファッションの知見を増やすためにも、見る価値がある映画です。

何よりわたしが痺れたのはイヴモンタンの渋さ。こんなにもコットンスーツが似合う人がいるだろうか。
わたしは常日頃、リネンはイタリア人、コットンはフランス人、とわかりやすく話しています。これは気候の違いがあるからです。
成功した男が休日にさらっと着るコットンスーツがこんなにも格好いいのか。と同性ながら惚れ惚れします。

対してもう一人の男性、サミーフレイは絵描き。サミーフレイが着るコーデュロイジャケット、ツイードジャケットの着こなしがとても自然で素敵です。いい意味で、洋服なんて気にしていられるか、というくらい一見適当な着こなしなのですが、その着方がなんとも格好いい。

サミーフレイがジャケットを着る中、彼の仕事を手伝っている仲間たちはシャツ姿であったり、カジュアルな着こなしです。
ここで彼らの中でのヒエラルキーが見えます。
サミーフレイはジャケットを格好いいというより、洋服にお金をかける余裕なんてないから、丈夫な洋服を着ている、といういい感じのラフな着方です。
そもそもツイードやコーデュロイという素材はそういうものです。お洒落に決め込むようなものではなく、今でいうカーディガンのように、さっと羽織っていくような気持ちで着るのが正解です。

この2人の男性の生活感も洋服に対する価値観も全く違うのですが、どちらも筋が通っていて素晴らしいです。

そしてファッションも去ることながら、作中に出てくる当時街中を普通に走っていた数々のクラシックカーも見所です。
昔はよかったと懐古趣味に浸るつもりはありませんが、この時代の物作りは全てにおいて妥協がなかったことを感じさせてくれます。