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第8章 フォーマルウェア
ディレクターズスーツ
ディレクターズスーツとは
ディレクターズスーツ、あまり日本では聞きなれない呼び名かもしれません。この言葉を聞いたことのある方は、洋服のことを勉強されている人だと思います。
このスタイルの始まりは、英エドワード7世が1900年頃、絵画を観覧する際、フロックコートやモーニングコートの簡略型として、黒のラウンジジャケットを着用したのが始まりといわれています。
今の日本では、着る機会の少ない洋服です。ですが、このような洋服を何もいわずに着こなせたらどんなにステキでしょうか。一体どんなシーンで着るものなのでしょうか。わたしなりに、お伝えさせていただきます。
<ディレクターズスーツ>
ディレクターズスーツとは朝の略礼服です。朝の準礼服のモーニングコートを、ドレスダウン(カジュアル化)したものを指します。モーニングコートとの見た目の違いは、上着のみが変わっており、平たくいうと丈が長いか短いかです。
この違いは、イヴニングコート(夜の準礼服)と夜の略礼服であるディナージャケット(タキシード)の違いと近いです。今の日本では、モーニングコートを着る人は、学校の卒業式に参列する校長先生か、結婚式に出る新郎新婦のお父様のいずれかでしょう。その略礼服であるディレクターズスーツは、どんな場面で着るのでしょうか。
自分の地位が高くなったら着るスーツ
格式が高そうなスタイルですが、一体どんな方が着るべきなのでしょうか。
例えば、長く会社に勤められていて、後輩が結婚式を挙げる。そしてその後輩から、「先輩にぜひ参列してほしいです」という言葉をもらったとき。仮に年齢は40代にさしかかった頃とします。いつも着ているビジネススーツではどうも格好がつかない。かと言ってディナージャケット(タキシード)だと格好が良すぎてしまう。そのようなときには、ぜひディレクターズスーツを選んでください。
ディレクターズスーツという名の通り、若い人が似合う洋服ではありません。40代を迎えて上司となり、人の上に立つ立場にある方が、はじめてシックに慎ましく着こなすことができるようになります。まさに、年を重ねた人が似合う洋服です。
ディレクターズスーツのコーディネート
ディレクターズスーツは、モーニングコートのように、3つ揃ではなく、全て異なる素材を選びます。
上着は黒のシングルブレステッド、欲を言えば、ラペルはピークドラペルで、前ボタンは1つが望ましいです。
ベストはグレーの無地を合わせます。ボタンは共地でくるみボタンがいいです。トラウザーズは、縞模様のものを合わせます。ですが最近では、この縞模様を選ぶことも変わってきており、千鳥格子や、シェパードチェックなどのような、カジュアルな柄を選ぶこともあります。
靴はシンプルな黒のストレートチップ(キャップトゥ)がいいでしょう。シャツは白のセミワイドカラー(ワイドスプレッドカラー)で、タイはボウタイではなく、結び下げ式で黒とグレーベースのレジメンタルタイ(シルバーのドットというケースもあります)を合わせます。
ディレクターズスーツを気軽に手に入れる
実はディレクターズスーツは、今お持ちのスーツによっては、上着、ベスト、トラウザーズ、3点すべて揃える必要がなく、全身コーディネートが可能です。
もし手元にシンプルながら、サイズがしっかりと合っている黒の上着があるようでしたら、それを使います。新しく揃えるのは、グレーのベストと縞のトラウザーズのみです。
少しせこい考え方かもしれませんが、全て揃えなくてもよくなった分を、普段使うスーツや洋服を揃えることができると考えたら、決してわるい考え方ではないと思います。
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