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第1章 洋服の哲学
スナップ写真を参考にしてはいけない?
今の時代は何を調べるのにも、インターネット、SNSを使用しますね。もちろんわたしも活用しております。
洋服について何かの名称を入れて調べると、トップにはとても格好いい人たちが出てきて目を引きます。
その人たちの着こなしに惚れ込み、ぱっと見で真似をするのは、わたしはぜひやめていただきたいとお伝えしたいのです。
彼らはインターネット上で目にとめてもらうために、着こなしにほんの少しの違和感を与えています。
たとえば一昔前でいえば、ネクタイの大剣よりも小剣を長くする。
ネクタイの結び目をずらす。
シャツの襟をわざと跳ねさせる。(これは一瞬雑誌で流行らせようとしてましたが、本当に謎でしたね笑)
他にも、くるぶしが丸見えなほどの短い”パンツ”を履く。(トラウザーズ、スラックスと呼ぶには相応しくないためパンツと呼びます)
わざと上着のポケットに無造作に手を入れる。
他にも色々ありますが、今思いつくのはこんな感じでしょうか。(こういった”ハズシ”の着こなしの生まれはほとんどがイタリアですね)
このような着こなしを作り出した方は、そこに思想があるのでいいと思います。しかし気をつけなくてはいけないのは、その着こなしに思想なく、表明だけをなぞった二番煎じ、またその次の三番煎じと真似をしていく人たちです。思想なき真似事は、どんどんおかしなことになっていきます。
このような着こなしをSNSでぱっと見たとき、普通の着こなしではないため違和感を覚えます。しかしすぐに、こういう着こなしもあるのか!と肯定的な印象に変わってしまうことがほとんどです。人はSNSのフォロワー数が多ければ多いほど、この人の着こなしは間違いないはずだ。とつい信用してしまいがちです。
しかしその違和感は、演者からすると目を惹きつけたいからやっているだけであって、正しい着こなしではない可能性も大いにあるのです。
演者はその一瞬のスナップの格好良さだけを意識すればいいですが、実社会を生きるわたしたちは、写真ではなく動くリアルを生きているため、根本的に着こなしに対する考え方を切り替えなくてはいけません。
このようなハズシの着こなしをやる場合、周りに納得してもらうためには相当な着こなす力がなくてはいけません。
「この人はあえてこうしているんだな」と周りに思わせる力がなくてはいけないのです。そういう意味でも、ハズシという着こなしは簡単に手を出してはいけないことなのです。
わたしたち一般人が目指すことは、最大瞬間風速の早さではなく、常に一定の気持ちいい風が吹くことです。
わたしたちが生きる世の中は、ファッションが大好きな人ばかりではありません。むしろその逆の人たちがほとんどです。
ファッションや着こなしに精通していない人が見たときに、「あれ?シャツの襟立ってますよ」、「ネクタイの長さ間違えてないですか?」と言われたら、それはもうお洒落ではなく、自己満足なのです。
小細工をせず、誰が見ても清潔感があり、凛としているというのが、本当のお洒落な人だとわたしは思います。
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