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第11章 その他
自分の流派を決める
多様化しているファッション。
勝手ながら、日々動画を通じて洋服のことを話している私ですが、このようなコメントをいただくことがたまにあります。
「〇〇さんは、こういう着こなしがいいと言っていたのですが、竹内さんと意見が違うようですが、その辺はどのようにお考えでしょうか」
これに関しては、私は一言、「流派の違いです」と答えています。
流派によって、やり方も違えば、正解も変わります。
私は何事においても、その道を探求するためには、まず自分がどの流派が自分の肌に合っているのかを見つけることが先決だと思っております。
それを見つけられずに、ただ闇雲にものを買ったり調べたりしていると、結果、知らぬ間に流行に流されて、自分の本当の好きなものではないものを買ってしまい、無駄な時間とお金を使うことになってしまいます。
私はクラシックスタイルを探求していますので、旬のブランドや新しいショップの事はあまり解りません。
なので新作については、セレクトショップの人の方がたくさんの知識を持っていると思います。
人生は短いので、すべての物事を極める事は不可能です。自分がいいと思った道を深掘りしていく方が、はるかに豊かな選択になると思います。
私がたまに行くバーで、古酒のみを扱っているお店があります。
そこは、古酒については圧倒的な知識を持っているのですが、こと新しいウイスキーとなると、全くわからないというスタンスのお店です。私は一見偏っているかのように見えるこのスタイルに、とても共感します。
全てを知っていますという人は、よほどの天才的な頭脳の人でない限り、まずあり得ません。
私は10代の頃、スタイリストのアシスタントをしていました。その頃わたしがいた世界は、常に新しいブランドが現れ、2,3年後には古くなり、目まぐるしく変化をし続ける最先端のファッション業界です。
しかし、その変わり続けるファッションに辟易してきたとき、クラシックスタイルに出会いました。
常に新しいものを探し続けるファッションよりも、年を重ねる毎に年輪のように深みが出てくるクラシックスタイルの方が、私の気質に合っていると気づきました。
わかりやすく言えば、トレンド派から、クラシック派へと、入門したわけです。笑(厳密に言えば、クラシック派の中でも様々な流派があります)
私は何も、クラシックスタイルの方が優れていて、それ以外はダメだと言っているわけではありません。
常に新しいファッションを求めて、かっこいいと思われたい、異性からモテたいということが第一目的であるならば、トレンド派を突き進むのがいいでしょう。
それぞれの流派は目指しているものが異なりますので、自分の人生で何を求めているのかを考えると、なにが自分に合っているのかが見えてくると思います。
私のお客様の中でも、おしゃれには興味がないが、良いものを長く着たいという方は多くいらっしゃいます。そのような方はクラシックスタイルが合うでしょう。
このように1つの信じる道ができると、あとはその道を突き進んでいけば良いだけですので、考えることはシンプルになります。
月刊発行のファッション誌ではなく、ファッション史を知ることで、時代背景から着るものがどのように変化してきたかを感じることができます。
その時代の流れを俯瞰して見ることで、よりクラシックの力強さを感じることができます。
激流の中で、静かにたたずむ、大きな岩のように、クラシックの魅力に気づくことができれば、ファッションは決して軽率なものではなく、人間に深く関わるものだと言うことを感じることができます。
2023年4月擱筆
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