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第13章 映画
スティング
少し毛色が変わってアメリカの映画。ポールニューマンとロバートレッドフォードという、当時の人気スター2人が共演した作品です。
誰しも聞いたことがあるテーマ曲が流れ、物語が始まります。
1936年、不景気の街での、チンピラたちがのさばっていく話。
格好いいのですが、どこはかとなくくるチンピラ感がまた観ていて面白いです。
マフィア・ギャング・チンピラ映画に共通するのは、出ている登場人物が皆、自分を大きく見せようと頑張っているところです。極端に広いラペルのスーツを着たり、幅の広いストライプのスーツを愛用する。大剣の太いタイを着けたり、つばの広いハットを被ったり。(麻生さんがマフィアファッションと言われる理由はがここにあります)
等身大以上に自分を見せることにファッションの力を使っています。そうやって見てみますと、マフィア、ギャングものの映画では、大きく見せるだけではなく、自分を磨き続けて、洋服に追いついていかないと、いつまで経っても青臭さが抜けない、ということを気付かせてくれますね。
ロバートレッドフォードがグレートギャツビーに出る1年前の作品。この作品を含め、他の彼が出ているものを見ると、彼は紳士の役は適さない役者ですね。
土臭さの中からくる格好良さが彼の魅力です。
そういう意味では全く毛色は違いますが、スティーブ・マックィーンもそういう役者かもしれません。彼も「華麗なる賭け」のようなスーツスタイルよりも、「ブリット」や「大脱走」のような、カジュアルさを感じるスタイルの方が彼らしくて格好いいです。
この映画の素敵なところは、演者の多くが帽子を被っているところです。運動量の多い仕事の役はキャスケット、中で頭を使う役はハットと、立場を綺麗に分けています。
また、ハットをかけたり置いたりする仕草も格好いいです。
ロバートレッドフォードが中盤、スーツを仕立ててもらうのですが、そのスーツもとても品があっていい。今まで派手なスーツにセンスのないネクタイを着けていたとは思えない変化ぶり。
スーツはブルーグレーのバーズアイ。シングルのピークドラペル。シルエットは今着ていても格好いい程よいコンパクトさ。シャツはサックスブルーのツイル地、タイはダークネイビーの無地。とても落ち着いていて、好感を持てるコーディネートです。
50年前の映画で、コスプレではなくリアルに今でも通用するスタイルを作り出しているところに大いに感心します。
「ノータイでは困る、よければお貸ししよう」
このセリフ、今の時代で使える場所はどれだけ残っているでしょう。
昔の映画はコートが見所です。
悪役が着ているベージュのタイロッケンコートがとても格好いい。
やはりコートはこのくらいサイズに余裕があるのがいいと思わせてくれます。
ロバートレッドフォードがタキシードの上にさらりと羽織っているバーバリーのトレンチコートの着こなしも素敵。
タキシードとトレンチコート。この2つは普通は交じ合うことはないアイテム同士ですが、さらりと上手に着こなしています。
有名な映画ですが、ファッションとして感じることがとても多い作品です。
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