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第10章 季節
My favorite clothes ~夏~
昨今の日本の夏の暑さは異常です。思わず、「夏はおしゃれなんてしていられない!」とおしゃれを放棄してしまう方も多いと思います。
わたし自身、「お洒落は我慢」という言葉はすでに死語だと思っています。無理矢理暑い夏でもジャケットやスーツを我慢して着てください。と言いたいわけではありません。
むしろその反対で、暑い夏だからこそ、いかに快適に涼しく、スマートに着ることができる洋服を持つことができるか、ということを考えることが大切だと思っています。
真夏で着られるジャケット
35度を超えてもジャケットを着たいという侍がいらっしゃいます。そのような熱いソウルを持ったお方にお勧めしたい生地がいくつかございます。
シアサッカー



夏のジャケットの定番といえば、シアサッカーがあります。生地の表面に縦縞の波状のシボがあるため、清涼な肌触りが生まれる夏向けの生地です。日本では「しじら織り」とも呼ばれておりますが、今ではシアサッカーが共通言語になっています。
ひと昔前までは夏向けの生地でしたが、ここまで高温になってきた昨今では、綿で作られることの多いシアサッカー生地は、綿の風通しの低さにより真夏では少々苦しいのが実情です。
マドラスジャケット


インド南東部のマドラス(現チェンナイ)地方で作られている格子柄の生地のことをマドラスチェックと言います。本場で作られているリアルなマドラスは染色の技術が甘いため、簡単に色移りがします。もはや洋服として成立していないのでは、というくらい問題だらけの生地ですが、そのアナログなものづくりこそ現代の便利になりすぎた世の中に刺さると思っております。
裏地も肩パッドも付けずにカジュアルにカーディガンのように着る一着です。
リネンジャケット

綿が暑いのであれば、もうリネンしかありません。肩パッドも芯も裏地も抜き、とことんまで軽い仕立てで仕立てた夏向けのサマーリネンジャケットは、一着あると25度以上の日にうまく装いを楽しむことができます。
縮織

日本の夏は日本の生地が一番知っている。ということで、日本の夏の和装の定番生地といえば、縮です。
こちらは小千谷縮の生地で仕立てたジャケット。袖の裏地も付けずに、一枚で仕立てている、ド盛夏向けの一着です。難点は、洋服向けの縮生地というのがなかなか作られていないということ。35度を超えても全く暑さを感じない、まさに粋なジャケットです。
夏はリネンシャツ
他の項目でも書いておりますが、夏はリネンシャツに限ります。
Tシャツに短パン、サンダルで過ごしている方には、私はぜひともそのTシャツの代わりにリネンシャツを選んでいただきたいと思っております。
歳を重ねてきた男性がふと、休日のカジュアルすぎる装いに疑問を感じ始めるのは、40代前後が多いと思います。
そのようなお方にこそ、仕事でも休日でも、どちらでも活躍するリネンシャツを夏の暑い日にレギュラーアイテムにしていただきたいです。
<Linen Shirts>
Tシャツで素肌を出した方が涼しくて快適だと思われがちですが、リネンシャツの風通りの良さは格別です。
肌に直接日光が当たらないことで、体温の上昇を抑えることができます。綿100%のTシャツと異なり、麻100%のシャツは速乾性に優れているため、汗をかいてもすぐに乾いてしまいます。
夏にリネンシャツはなくてはならないマストアイテムです。
トラウザーズ
強撚糸・フレスコ

強く撚り上げる糸と書いて強撚糸。字の通りザラっとしていてハリがある、ドライでまさに盛夏向けの生地です。耐久性に優れているため、長く履くことができます。
仕事の時に履くトラウザーズが欲しいというお方は、ぜひこちらの生地で探してみていただきたいです。
リネン

夏はリネンに限ります。リネンシャツを着てリネンのトラウザーズを履けば、もうそれでOKです。
カジュアルな職場であれば、仕事に履いて行っても問題ありません。清涼感があり、高級感もあり、洒落感もある、夏はこれでしょ!というアイテムです。
大人のためのショーツ
暑い夏は私はショートパンツを履きます。ショートパンツもカジュアルすぎないものが理想です。
「カチッとした洋服しか着ないんじゃないですか?」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、オフの日はカジュアルなコーディネートも楽しんでおります。
そのショートパンツ一つとっても、カジュアルすぎないものを選んでいます。
ショートパンツという、何もしなくてはカジュアルになりすぎてしまうアイテムだからこそ、いかに上品に見せるか、ということを考える必要があります。
こちらは数年前にBERUNでショートパンツを作ったものです。

インの2タック、そしてベルトループ無し。サイドアジャスターでウエストを絞るドレッシーな形です。

アイテムの面積が狭いものこそ、フィッティングがとても大切です。
ヒップから裾にかけてはゆとりを持たせ、ピチピチのサイズ感にしないことが大切です。
数年前まではグルカショーツ(グルカパンツ)を愛用していましたが、ここ最近のサファリルックブームで人気に火がつきすぎてしまったので、しばらく静観しています。
夏こそローファー
簡単で履き心地がいいスニーカーでもいいですが、ぜひカジュアルな機会だからこそ、ローファーを履くという選択をしてみていただきたいです。
何度も書きますが、アイテムが減る季節だからこそ、一つ一つのアイテムの純度を上げていく必要があります。
冬ではなんとなくごまかせていたものも、夏になると全てのアイテムが露呈されてしまいます。
シャツ、スラックス、靴、この3つでいかにお洒落さを出すか、ということが問われます。
<JM WESTON Signature Loafer>
日本でドレスよりのローファーといえば、このローファーの右に出るものはいないでしょう。価格が昔と比べてかなり高値になってきておりますが、似たような靴はあってもやはりウェストンのローファーは美しいです。
ジャケットスタイルにもジーンズにも、ショートパンツにも合わせられる、素晴らしくバランスのとれたトラディショナルなローファーです。
<ビットローファー>
1953年にグッチが馬具の形を模した金具を付けたローファーを出したのが、このデザインの始まりです。
黒のスウェードはチャーチのヴィンテージのもの。茶のスウェードはオールデンのケープコッドシリーズのもの。ビットローファーは大人の雰囲気もありながら、若者が背伸びをして履いていても許される、懐の広いローファーです。

左のコインローファーはクロケット&ジョーンズのボストンです。私がイギリスに留学していた時に、ノーザンプトンのB品で当時£100で購入しました。当時山のように靴を買いましたが、今も残っているのはこの靴だけです。アメリカらしくない、でもボストンという名前。イギリス人がアメリカ靴をイメージして作ったような、絶妙なバランスの靴です。とても大好きなので、おそらくずっと持ち続けると思います。
右の靴はタニノ・クリスチーのタッセルローファーです。こちらのブランドの歴史は古く1876年創業。
メンズラインは2000年代には終了してしまい、続いてブランド自体も2011年に経営難にて廃業してしまいました。乗馬靴を得意とするブランドで、レディースのジョッパーブーツの美しさは素晴らしいの一言です。
私が好きなイタリア靴の中の一つです。今のイタリアらしさはないですが、時代を超えた、美を追求した時代のイタリアらしさを感じるブランドです。
今は中古、古着市場で見つけることしかできなくなってしまいましたので、まるで宝探しをするように、自分のサイズに合うものに出会い、かつデザインがドンピシャだったときは、飛びつくように手に入れています。
夏のおすすめはデッキシューズ
夏にしか履けない、というわけではありませんが、夏にしか履きたい気分にならない靴があります。それがデッキシューズ。名前の通り、当時は船の上で履くために作られたものです。
デッキシューズという形が完成したのは1935年で、実業家であり船乗りでもあった、ポール・A・スペリーによって考えられました。
彼が船の上にいたとき、滑って甲板から落ちてしまったことをきっかけに、滑らない靴を作ろうと思い立ちました。(失敗をバネに、そして歴史を作ってしまうというあたり、さすが実業家ですよね)
この靴は「トップサイダー」というブランドとして、世界に売り出されていくことになります。
第二次世界大戦では、アメリカ海軍のユニフォームとして使われるなど、アメリカ国内での支持を確立しました。
デッキシューズとショートパンツの相性はとてもいいです。ポロシャツにショートパンツ、デッキシューズという組み合わせは一つの完成形でしょう。
<JOHN JOBB>
私自身、トップサイダーのデッキシューズはまだ持っていません。探しているのですが、USA製のもので、状態が良く、私のサイズとなると、なかなかいい出会いがないのです。
トップサイダーを履くとプレッピースタイルになりますね。私はあくまでドレッシーに履きたいので、ジョンロブのデッキシューズを持っています。
夏のサンダルの選び方
夏はついついサンダルに足が伸びてしまいます。かくいう私もそうです。ですが、私の洋服の基本の考え方は、カジュアルすぎず、フォーマルすぎず、あらゆる場面で適応することができる服装です。
カジュアルすぎてしまうと、突如、「この格好ではまずかった。。」という場面に出くわしたときに困ってしまいます。
自分なりの一定の線引きをしておくことで、秩序が守られる服装でいることができます。
私は夏のサンダルはグルカサンダルを履くことが多いです。
<Giacometti>
こちらは全てジャコメッティの靴です(左の白の靴はサンダルではありません)。これらのグルかサンダルも、ここ最近で一気に人気になってきました。似たような形のサンダルは出てきていますが、昔からこの形で、本気の物作りをしているジャコメッティが圧倒的に美しいです。
何度もお伝えいたしますが、アイテムが減る夏こそ、一つ一つのアイテムのことをしっかりと考えていくことが大切です。
最終編集 2026年9月
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