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第10章 季節
クールビズを楽しむ
2019年までわたしは、アンチクールビズを謳い、クールビズに流されず、惑わされず、自分らしい着こなしをしましょうと発信をしていました。
ですが、もはやクールビズがとうの昔に市民権を得て、スーパークールビズという言葉まで生まれ出しました。(数年後にはウルトラクールビズが始まるのでしょうか笑)
そこで、2020年から新しい考え方をもつことに決めました。その名も、「Dance with Coolbiz(ダンスウィズクールビズ)=クールビズと踊ろう」。
(わたしの好きな映画「Dance with Wolves」からとったことは隠しておきます)
もう止められない動きに抗うことは、紳士的ではありません。
政府が取り決めたクールビズという制度といかに優雅に、美しく向き合うか、ダンスをするか、ということが、この言葉の本意です。
クールビズといえば
クールビズといえば、ネクタイを取る、上着を脱ぐ、というような取り組みです。このようにただ脱ぎ捨てる、つまり引き算だけで終わらせてしまうことをやめましょうという意図です。
脱ぎ捨てるだけですと、だらしなさと、人に不快感を与えてしまいます。
ただ脱ぐ、外すだけで終わらないように、ネクタイを外したなら、ノータイでも格好良く着られるシャツを見立てる。スーツの下だけを履くというようなことはせず、夏場に快適に履ける、夏用のスラックスとは何かを考える。靴もスーツの靴ではなく、少しドレスダウンされた靴を選ぶというように、夏ならではの特別な過ごし方を考えていきましょう。
スーツの下だけを履いていると、秋がきたときに久しぶりに上着と合わせると、上下で色が変わってしまっていたり、下だけ傷んでいて、スーツの寿命が短くなってしまったりと、いいことがありません。世の中には、スラックスに適した、快適で丈夫な生地があります。夏用にスラックスだけを揃えるということは、とても理にかなった買い物なのです。
スーツを仕立てるとなると、少し勇気がいる方も多いかと思います。そういった方のためにも、夏は良いものを揃えるのにはとてもいい季節です。シャツとスラックスを揃えるだけで、身なりが一変します。とてもコストパフォーマンスのいい買い物だと思います。
シャツは麻かメッシュ生地。スラックスは麻か強撚糸で仕上げた生地。スラックスのサイズも極端に短く、細くしすぎず、あくまで自然なサイジングが理想です。
〈からみ織のシャツ〉
〈強撚糸のトラウザーズ〉
〈夏に活躍するローファー〉
〈夏の定番コンビシューズ〉
クールビズといかに優雅に楽しもうかということを思いながら過ごす夏も、わるくないと思います。
夏もおしゃれを諦めない
夏のおしゃれは大変な季節です。多くの人がおしゃれを諦める季節だからこそ、素材と色を厳選して、夏も快適におしゃれを愉しめるようになっていただきたいです。
「夏は暑いからタイをしないほうが涼しい」という発想は、クールビズ社会が作り出しました。実際、本当にただタイを結んでいるだけで暑く感じるのでしょうか。きっと、それはいつも結んでいるタイの”素材や色”が重苦しいものばかりだからかもしれません。
夏のタイの素材は「シルク」「リネン」「コットン」などを選び、色は明るめのタイを選ぶと、涼しげで気持ちがいいものです。
また、夏の定番は「ニットタイ」です。ネイビーのニットタイは汎用性が本当に高いので、一本持っておくことを強くお勧めします。
<ネイビーニットタイ>
ノータイ姿で半袖シャツ一枚で過ごしていても、うちわを仰ぎ、汗びっしょりで暑そうな顔をして歩いている人は、どんなに軽装でも暑苦しく見えてしまうものです。
長袖シャツの方が涼しい?
夏になると半袖シャツを着る方が増えますが、実は半袖よりも、長袖シャツのほうが体感が涼しく感じるといわれています。これには大きく2つ理由があります。
まず長袖シャツにすることで、腕にかいた汗を吸ってくれるため、体温の調整ができます。
2つ目ですが、直射日光が直接肌に当たる部分が少なくなるため、日光による体温の上昇を防ぐことができます。これは理科の実験を思い出していただきたいのですが、透明なビーカーに水を入れ、日中外に置いておくものと、ビーカーの周りを布で覆い、同じ環境に置くものを2つ比べたとき、透明なほうは水温が大きく上がりますが、布で覆っていたほうは前者ほどは上がりません。直接肌に日光を当てるのは肌にも悪影響です。そしてなにより、半袖シャツはどうにも見た目がわるいです。
シャツはなるべく綿か麻素材を選びましょう。形態安定のものは生地に加工を施しているため、本来生地がもっている通気性が損なわれてしまいます。それに合わせて、夏の涼感系のシャツ生地はポリエステルなどの化学繊維が入っているものも多いです。形態安定のもの、化繊の入っている生地は吸湿性がわるく、生地が汗を吸わないため、べたつき不快感が残ってしまいます。
夏にはぜひ、麻のシャツを着てみてください。一度着ていただいたら、もう綿の生地には戻れないと思います。「速乾性」、「抗菌作用」、「吸湿性」いずれも優れた麻は、夏のシャツの代名詞です。
ビジネス上、麻はカジュアル感が出て難しい。ということで綿素材で選ぶようであれば、ブロード織のような表面がつるっとした物ではなく、オックスフォードのような凹凸のある生地の方がベタベタせず、不快感が少なく着用できます。ですが、最も涼しい綿素材で言いますと、からみ織のシャツが間違いないでしょう。
インナーはベージュの袖と首元が切りっぱなしになっているもの(通称カットオフ)が不可欠ですが、こちらも麻に負けず劣らず、とても快適に過ごすことができます。
夏は暑い、そして冬は寒いです。だからこそ、季節に見合った素材と色を選んで、毎日を愉しみましょう。
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