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第3章 ジャケット
Super 〇〇’sとは
<Super130’sの表記>
数年前から広く一般的に知られるようになった「Super(スーパー) ○○’s」という数字。この数字が大きければ大きいほど、糸が細く、繊細な生地になります。
“スーパーウール”という表示は、1970年代に英国の紡績メーカーの「ラム社」によって始まったものです。その後、「ミル(生地メーカー)」や「マーチャント(生地商社)」によってさまざまなスーパー表示が乱立していきました。そのため、2000年に「IWTO(国際羊毛繊維機構)」によって世界共通の基準が設定されました。実は最近の出来事なのです。
これによって“スーパーウール”は、繊維の細さが19,5ミクロンの「Super 80’s」から、13,0ミクロン(人間の髪の毛の6分の1程度)の「Super 210’s」まで14段階に区別されるようになりました。ちなみに1ミクロンは1/1000mmという細さ。「Super 120’s」は17,5ミクロンという細さです。ここまでくると言葉だけでは理解しがたい世界まできてしまいますが、Superの数字が上がれば上がるほど糸は細くなり、高級感が出ます。しかしその反面、生地は繊細になり耐久性はなくなっていきます。
持論ですが、このSuperの数字を上げる必要性は、日常的に着用するスーツであればほとんどないと思っています。これは1970年以降の生地メーカーが、「我が工場はより細い糸で生地を作れる」という技術競争をし続けた結果なのです。日常でSuper 200’sのスーツは着る必要はないと思います。普段使いするのでしたら、高くても120,130くらいで十分でしょう。
意外に思われるかもしれませんが、作り手側は、Super 100’s以上の生地は着ていません。
それはやはり、スーツは着てはじめて価値のあるものだからです。気後れしながら着るものではありません。
シャツでも同じことが言えますが、100双以上の生地は、シャツにとって必要である耐久性が乏しくなっていきます。永く着たいようでしたら、技術者の競争に参加する必要はないでしょう。
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