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第8章 フォーマルウェア
ディナージャケット(タキシード)で揃えるもの
カマーバンド
カマーバンドの原形は、キャラバン(ラクダに乗り砂漠を渡る商人)が腰に巻いていた帯状の布だと言われています。当時、商人達は腰に巻いた布の中に所持金を入れており、この布をウルドゥー語で「腰」を意味する「kammer」と呼んでいたことから、その名が付きました。
19世紀の後半、タキシードの中にはベストを着るスタイルが主流でした。しかし、当時イギリス領だったインドに駐留中の将校たちが、現地の高温な気候に耐えかね、インド人が使用していた幅の広い帯をベストの代わりに着用しました。これがカマーバンドの発祥と言われています。
カマーバンドは、ひだが上を向くように巻くのが正しい着け方です。元々カマーバンドは貴重品を入れるために誕生したものであり、ひだをポケット代わりにし、チケットやコインを入れる習慣がありました。
現在では機能性よりも、装飾的なデザインとして扱われるようになりました。
ボウタイ
<ボウタイ(手結び式)>
ボウタイはできる限り、手結び式のものを推しております。
元々ホック式のボウタイは「プレ・タイド・ボウ」とよばれ、サービスに従事するウェイターのユニフォームとして作られたものでした。式に参列するものが、ウェイターと同等のものを着けていては品格が失われてしまいます。出来合いのものでは作り出せない、手結びでしか出せない風合いがあります。慣れるまでは大変ですが、ぜひ習得してください。
ホック式のものは、左右均等で、とても形が綺麗に仕上がっているのがわかるかと思います。手結び式のものは不均一ですが、手結びならではの独特のアジが出ます。何もうまく結ぶ必要はなく、むしろ少し曲がっているくらいのほうが、自分で結んでいるんだな、という雰囲気が出てこだわりを感じられます。
かの大英帝国を第二次世界で勝利に導いた首相ウィンストン・チャーチル氏は、スーツには必ずネイビーのピンドットのボウタイを手結びで着用していました。彼は毎朝、鏡に向かってボウタイを結んでいたのです。あえてあまりうまく結びすぎない、自然でいることが本当の洒落者ということを地で行っていた方です。イギリスは装いにこだわりをもった首相や皇太子に恵まれて、羨ましい限りです。
フォーマルシャツ
<ウイングカラー・シャツ>
タキシード用のシャツには「ウィングカラー」をイメージされる方が多いと思いますが、こちらは上着の襟型に合わせて選ぶことをお勧めします。
ウィングカラーはアメリカ式で、ショールカラーに合います。
レギュラーカラー(セミワイド)はイギリス式で、ピークドラペルのタキシードと合います。どちらも正式なフォーマルスタイルのため、お好みでお選びいただいて大丈夫です。
写真ように前立を比翼仕立てにして、
スタッズボタン
<スタッズ釦(オニキス)>
タキシードはルールに従うことが美しい
フォーマルの装いには、現代の理解を超越した洒落心がこもっています。昔の貴族たちは、下着であるシャツのボタンをも美しくないと解釈し、そこに装飾を求めました。それがスタッズボタンです。
ディナージャケットのトラウザーズの側章も同じ発想であり、ただ生地と生地を縫い合わせているだけだから、サイドの縫い目が美しくないと判断し、そこに拝絹と同じシルクを縫い合わせたのです。側章のことを正式には「サイド・ブレイディング」とよびます。
「オニキス」、「白蝶貝」、「黒蝶貝」と代表的な素材は3種類あります。夜会であれば黒のオニキス、昼間の会であれば白蝶貝を選び、時間を愉しむといいでしょう。スタッズは、カフスと色柄を揃えるのが理想です。
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