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第11章 その他
男の三原色
この世には「男の三原色」と呼ばれる色があります。
それは、「ネイビー・グレー・ブラウン」です。
日本ではあまりブラウンにはなじみがありませんが、これは街や国で大きく特徴が分かれます。
イギリスロンドンのような金融都市では、ほとんどの人がグレーかネイビーを着用しています。サヴィルローでも、ネイビーとグレーのスーツが基本です。
対してイタリアやスペインなど、ラテン系の人たちは好んでブラウンやベージュなどの「アースカラー」を選びます。
これには街の色が関係していると言われており、日本やロンドン、ニューヨークなどの大きな都市はコンクリートジャングルで、町全体がグレー系のダークトーンで抑えられています。
南ヨーロッパの場合、地面は土で建物も茶系統で、町全体がアースカラーで形成されています。街が人を作るとはまさにこのことだと思います。
軽井沢などの避暑地や、自然の多い場所に行く際は、グレーやネイビーよりも、より自然色に近い色、グリーンやベージュなどを着た方がイメージに沿うでしょう。このように、街に合わせて洋服を選んでいくというのはとても愉しいです。
ネイビー・グレー、この2色の中ですと、日本ではネイビーの支持率が高いと思います。それは、ネイビーという色がグレーに比べ、華やかな雰囲気があるからでしょう。
グレーは色味自体が落ち着いているため、その人自身の魅力が必要です。よい年の重ね方をされた人が着るグレーは、なんとも言えない魅力があります。
グレーの中でも、ライトグレーやミディアムグレーは比較的若い方でも着られますので、ぜひ挑戦してみてください。
余談ですが、1957年のアメリカ映画で、「灰色の服を着た男(Man in the Gray Flannel Suit)」という作品があります。アメリカの出版社に勤めている主役の「グレゴリー・ペック」が、同期より昇進が遅れて困っていたとき、ある上司が、「ブルックス・ブラザーズに行って、グレーのフランネル生地(起毛した紡毛生地)のスーツを注文してきなさい」とアドヴァイスをしました。グレゴリー・ペックがそのアドヴァイスに従った結果、どんどん出世していく、という物語です。それ以来、「Man in the Gray Flannel Suit」という言葉は、米国企業の将来を期待される幹部候補という意味になったそうです。
このようにグレーという色は、相手に安心感や説得力、重厚感を与える魅力のある色です。対してネイビーは、誠実さや若々しさなど、明るい印象をもたせます。
日本であまりブラウンが確立されないのは、日本人の髪と眼の色が影響しているとわたしは思います。黒髪で黒い眼をした日本人がブラウンのスーツを着ても、なかなか雰囲気良く着こなせる人が少ないのが事実です。三原色の中でも難しい色合いだとわたしは思っています。その分、ブラウンのようなアースカラーを自然に着こなしている人は、やはり見ていて格好いいですね。
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