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第12章 お手入れ
ブラッシングの重要性
大切な洋服は、永く着続けたいですよね。
「日頃のメンテナンスは何をすればいいですか?」とよく聞かれます。
毎回やることとしては、ブラッシングだけで十分です。
ウールというのは素晴らしい生地で、日中着ていたシワもハンガーにかけているうちに自然に消えていきます。
そのシワの回復のスピードは、ウールの生地の質や厚みによって変わりますが、大体着用した時間の3倍以上休ませておくことで、ほとんどのスーツのシワは取れると言われています。
例えば自宅を出られるのが8時だとしまして、家に帰ってきてスーツを脱ぐのが19時だとしましょう。約10時間ちょっと着られたとしたら、30時間休ませたらシワは大体取れます。
つまり2日休ませるといいのです。これが世にいう、「1日着たら2日休ませる」の答えです。
もし、そのくらい休ませてもシワが取れていないようでしたら、そのスーツは、サイズが合っていないか(タイトすぎる)、糸が細すぎる(Super〇〇など高番手)からかもしれません。
ブラシの選び方
ブラッシングの頻度は、可能であれば着るたびにやっていただきたいです。
ブラシは上質な物であれば相応の価格がしますが、安価な物は毛が硬く、逆に生地を痛めてしまう場合もあります。天然の動物のしなやかな毛を使った良質な物が売っているので、大切な洋服のために揃えておくのもいいでしょう。5,000円前後がひとつの目安です。
そもそもブラッシングとはどういう意味があるのでしょうか。
まず第一に、ホコリや汚れを落とすためにやります。また、着続けることで寝てしまった毛を起こし、生地のツヤを復活させるという意味もあります。
ウールなどの天然素材は、毛に油分を含んでいるため、ブラッシングをすることで生地の輝きが戻ってきます。また、繊維本来がもつ油分が蘇るため、汚れが付きにくくなるとともに、静電気も起こりにくくなるというメリットもあります。
このような理由から、日々のスーツの手入れは、ブラッシングをするだけで十分と言われています。
たかがブラッシングと侮っていてはいけないのです。
ブラシの正しいかけ方ですが、「面」ではなく「点」でかけていきます。
ブラシを縦に持ち、手首のスナップで払い落とすようにかけます。優しく撫でるようにしてもあまり効果はなく、ある程度力を入れ、ほこりをかき出すようにかけてみてください。
より丁寧にやるようでしたら、最初は下から上に毛を起こしてほこりをかきあげるようにブラッシングし、次に逆立った毛をなで下ろすように、上から下にかけていくといいです。下に動画を載せておきますので、参考までにご覧になってみてください。
シワが気になるようでしたら、水を入れたボトルで軽く霧吹きをして、陰干ししておきましょう。
市販の消臭除菌スプレーもありますが、人体に有害なものが多いため、わたしはあまりお勧めしません。
また、風呂上がりの浴室にかけておくという話もありますが、実はそちらもあまり得策ではないのです。
湿気の大量にこもった空間に長時間おいておくと、生地(糸)が伸びてしまい、形が崩れてしまう場合があるからです。
家庭用スチーマー(ガーメントスチーマー)があれば、シワも匂いも簡単にとることができるためオススメです。アイロンのスチームでもパワーは弱いが可能です。
長時間着ているとスーツの毛が寝てしまうので、水分を少し与えてブラッシングをして毛を起こします。シワが取れてもすぐにクローゼットにはしまわず、陰干しをしてしっかりと湿気・水気を飛ばしてから、クローゼットに戻しましょう。
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