正しい袖丈のバランス


多くの人が、袖丈の長いスーツを着ているように見受けられます。これは既製服の時代になり、あらかじめ長めに作っておくことで短くすることもできるという発想からきているのだと思います。また、袖丈の正しい長さも的確に説明することができないショップスタッフが増えてしまっている現実、自らが知っておく必要があります。まず、手の甲を包み込むほどの長過ぎる袖丈のスーツや、短すぎてシャツのカフスが堂々と出ている袖丈は、NGです。

シャツの立ち位置から説明いたしますと、シャツは本来下着であり、スーツを素肌に触れさせないために存在しています。スーツの袖丈が長過ぎると、スーツの袖先が素肌に触れてしまい、スーツを汚れから守るという本来の役割を担えなくなってしまうのです。このベストバランスは、約1,0〜1.5cm、スーツの袖からシャツが出るのが美しいと言われています。

IMG_8272 - コピー<理想的な袖丈>

このように計算していくと、おのずとスーツの袖丈の正しい長さが見えてきます。腕を垂直に下ろし、手首を外に90度に曲げたとき、手の甲にスーツの袖の端が触れるくらいがちょうどいい長さです。

このように、男性のフォーマルクロージングは1から100まですべて理詰めで構築されています。昔から流行は常に作り出されるものの、それらがスタイルとして根付くことはなく、クラシックが百数十年大きな変化はなく、スタンダードであり続けるのです。“スーツは着る世界遺産である”と呼ばれる所以はここにあります。

昔、お客様についていき、超有名ラグジュアリーブランドのスーツコーナーに行ったことがあります。お客様は上背は低く、ふくよかな体格をされた方で、そのブランドのスーツを試しに着てみました。そのとき着たスーツの袖が、手の甲をすべて覆い尽くすほどの長さで、わたしはたまらず店員に、
「これは長いですよね?」
と言ってしまいました。
しかし店員の回答は、
「私どものブランドの理想の長さはこのくらいです」だったのです。

上背の低い、ふくよかな方が手の甲まで隠れた袖の長いスーツを着る。イメージができるかと思いますが、お父さんのスーツを借りて着たようにしか見えなかったのです。
あるブランドは、着る側のことを第一優先せず、ブランドイメージを先攻して売ることがあるということを知りました。服に着られる人にならないよう、ぜひ正しいサイズを覚えておいてください。

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