誰でもおしゃれができる国


わたしはヨーロッパに行くときは必ず、お気に入りのスーツを身にまとい、トラディショナルスタイルで街を練り歩きます。そういうときは、驚くほどたくさんの人に声をかけてもらいます。ですが面白いことに、褒めてくれる人はそれほどおしゃれな人ではない場合が多いのです。

イギリスは昔ほどではありませんが、階級社会が残っています。ヨーロッパでは、美しいものを美しいといえる感性をもっているにも関わらず、おしゃれをする身分ではないという理由で、自らの装いを諦めている人が大勢いらっしゃいます。もちろんこれは、「サヴィル・ロウ」や、「ジャーミンストリート」(紳士道と呼びましょう)をうろつく中流階級以上の人たちは除きます。身分不相応だと感じている地元の人は、そのような”紳士の聖域”に足を踏み入れることはしないのです。観光客は悠然と入っていきますが、現地の中流階級以下の人たちは、まるでそこに結界が張られているように入ろうとはしません。

昔の話ですが、「ルイ・ヴィトン」の社長が初めて来日したとき、電車に乗っている女子高校生が、自社のバッグをもっていたことに驚きを隠せなかったそうです。そのくらい、日本ではおしゃれをすることに壁がないのです。
現在、世界中がすさまじい勢いでカジュアル化へと進んでいます。着崩すことは誰にでも”簡単に”できます。しかし、トラッドスタイルを”誰でも自由に”愉しむことができるのは、先進国の中でも限られた国のみです。階級や治安をひっくるめると、日本だけではないでしょうか。

目に見えるほどの階級はなく、一億総人口中流階級の日本だからこそ、できることがあります。クールビズやITブームも落ち着き、ここ十数年はカジュアルの限りを尽くしました。カジュアルに向かっていくことに、本質的なものはあるのでしょうか。これからは改めて、トラディショナルなものを見つけ直していく流れがきてほしいと願います。

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